ワクチン接種が十分に広がり「コロナ後」が見えてくれば町に人出が戻ってくる。店舗への送客で大きな役割を果たすMEO(マップエンジン最適化)は、何から手を付ければいいのか。マーケティング支援のコンサルティング会社とベルリッツ・ジャパンのマーケ担当者にコツを聞いた。

ベルリッツ・ジャパンでは、Googleマップからの体験レッスンの流入が多いことに注目し、MEOの強化に踏み切った
ベルリッツ・ジャパンでは、Googleマップからの体験レッスンの流入が多いことに注目し、MEOの強化に踏み切った
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 ネットを通して消費者とつながり、リアル店舗への送客を促すOMO(オンラインとオフラインの融合)に取り組む企業が増えている。「マーケ部門やWebチームだけでなく、新設したOMO推進室のような部署から相談を受けることが多い」。そう話すのは、デジタルマーケティングのコンサルを手掛けるMedia Theater(東京・文京)の今木智隆CEO(最高経営責任者)だ。

 店舗を持つ企業からの依頼を受ける中で、「着実に成果を出せるOMOの手段として、まず候補に挙がってくるのがMEOだ」と今木氏は話す。米グーグルが提供している「Googleマイビジネス」という無料のサービスに登録し、各種の情報を更新する。それだけ聞くと簡単そうだが、店舗数が多くなるほど管理の手間はかかる。大規模なチェーン店で、店舗名と住所程度の情報しか入っていないケースも多い。例えば、緊急事態宣言などの状況下では重要な情報となる「新型コロナウイルス感染症対策をしていると、Googleマイビジネス上できちんと表示している企業は10社に1社もない」(今木氏)という状況だ。

【特集】MEO(マップエンジン最適化)最前線
【第1回】 吉野家、1200店のマップ情報を一括管理 コロナ禍でもHP流入2倍
【第2回】 MEO対策、3つのポイント 無料で数十万円分の広告コストに相当←今回はココ
Googleマイビジネスの画面。「投稿」「情報」などの欄をクリックして各種の情報を更新する
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ベルリッツが取り組んだ施策とは

 外国語会話のベルリッツ・ジャパン(東京・港)も最近MEOに力を入れ始めた企業の1つ。同社デジタルマーケティングユニットの小林宙翔マネージャーは、これまで10年ほど金融関連サービスなどのデジタルマーケティングを手掛け、ベルリッツには21年2月に入社した。同氏が、Googleマイビジネス上で全国約50のランゲージセンター(教室)の情報を確認してみると、各施設の名称や住所は登録してあった。さらに講師の写真や同社ロゴもあったが、どの施設も同じ画像のみ。十分にきめ細かなMEOの管理ができているとは言いがたい状況だった。

 ところが、サイトの導線を分析してみると驚きの数字が見えてきた。スクール体験の申し込みに至るコンバージョン(成約)の経路を分析すると、計測できる数だけでも全体の3%弱がGoogleマップ経由だったのだ。SNSなどに広告出稿する場合のCPC(クリック単価)で換算すると「東京都内のランゲージセンター1カ所あたり数十万円分の広告コストに相当する」(小林氏)。MEOにしっかり取り組めば、もっと高い成果を出せると考えた同氏は、早速社内でMEO対策の強化を提案したという。

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