
サイボウズでコーポレートブランディング部の部長を務める大槻幸夫氏が2021年4月、軽井沢(長野県)で1週間のワーケーションを体験。「働き方改革」推進企業として知られるサイボウズの管理職の立場から、ワーケーションはどう映ったか。うまく仕事が回るためのノウハウを寄稿してもらった。
2回目の緊急事態宣言が終了した2021年4月に、軽井沢で初めてのワーケーションを体験してきた。通常の1泊料金で1週間宿泊できるワーケーションプランなるメニューをインターネットで見つけ、「これは挑戦してみるまたとないチャンス!」と勢いで申し込んだ。観光地にいながら、特に観光の時間は取らず、ガチで仕事漬けのワーケーションだ。
滞在中は午前9時くらいに起きてホテルの朝食を取り、部屋に戻って仕事開始。午後イチの仕事が落ち着いたところで、気分転換の散歩がてら近所のカフェに立ち寄り、コーヒーをテークアウト。そして午後7時過ぎぐらいにまた近所へ夕食に出かける。そんな毎日だった。アラフィフ世代に突入したからか、食事は1日2食がちょうどいい。夜はまた仕事をした日もあれば、Netflixで映画鑑賞などして過ごした日もある。この辺は自宅にいるときと変わらない。
在宅勤務との一番の違いは、「家事がなくなる」ということに尽きる。家で仕事をしていると、食事の準備と片付け、掃除、宅配便の受け取りなどなど、やることが多い。ワーケーションならこれらは全部用意してもらえる。ホテル外での食事も気分転換に街に繰り出すついでなので、負担にはならない。この解放感は大きい。
街中と比べて騒音もない。緑がまぶしい木々と青空、流れる雲、鳥たちのさえずりと、新しいアイデアをぼーっと考えることができる環境。「個室」である点もいい。コワーキングスペースでは、業務情報を含むウェブ会議は情報漏えいの恐れがあって難しいが、ホテルの部屋はその心配がない。ずっと仕事をしているのに宿泊費を払うことに違和感があるかもしれないが、「家事不要」と「個室」を得るためと考えれば、適正なコストだろう。
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軽井沢のようなリゾート環境で、本当に仕事に集中できるのか? そんな疑問、不安を持つ人もいるだろう。昭和の価値観が抜け切れないおじさんとしては、「勤務時間中にこんなすてきな空間にいていいのだろうか」「実は仕事しないで遊んでいると思われていないか」といった背徳感というか、落ち着かなさを感じなくもない。それでも、会議の予定がびっしり入っているような人ならまず心配は無用だ。あっという間に1日が終わる。
自分の作業を黙々とする場合、私はとにかく静かで癒やされる、日常と異なる空間が“やる気スイッチ”を入れてくれたため、いつも以上に仕事がはかどったと実感している。ちなみに、私の上司は「リゾート地に行ってビールを飲まないでいられる自信がない」と言っていた。そこは「人それぞれ」だと思う。(笑)
今回は日曜日にチェックインし、土曜日にチェックアウトだったので、その両日はショッピングの時間を取った。これまで数日の滞在だった軽井沢に1週間も滞在すると、いつもは行かない店を開拓でき、夕飯はいろいろと楽しめた。
帰りは午後2時ごろの軽井沢発の新幹線に乗って、午後3時半くらいには自宅に到着していた。さすが軽井沢、アクセスがいい。機会があればまた行きたいと思っている。
もし、おトクな軽井沢ワーケーションプランを見つけたのがコロナ禍前だったら、どうしていただろうか。
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