ワーケーション&多拠点生活のリアル

デジタルマーケティング支援会社シンクロ(東京・品川)の社員でありながら、長崎・対馬で漁師に――。社員のほとんどがバックパッカーで、モンゴルの秘境でも合宿を行うシンクロの働き方は「どこで働いてもいいし、好きなことに取り組んでいい」という究極のワーケーションだった。

シンクロ(東京・品川)の社員でありながら漁師生活を送る佐藤万里央氏は日報を社内SNSにアップ。社長や上司、同僚がそれに対してコメントしている
シンクロ(東京・品川)の社員でありながら漁師生活を送る佐藤万里央氏は日報を社内SNSにアップ。社長や上司、同僚がそれに対してコメントしている

 「始めはかなり苦戦しましたが、潮が通ってきてからはブリを3本釣りました」「でか、何キロ?」「8kgです。10kgオーバーは出ず……」「脂がめっちゃ乗ってそう」――これは休日に釣りに出かけたときの日記ではない。デジタルマーケティング支援会社シンクロ(東京・品川)の社員による業務日報とそれに対する社長や上司のコメントだ。

前回(第2回)はこちら

 長崎・対馬で漁師生活を送る佐藤万里央氏の、ある1週間のスケジュールは以下の通り。

  • 月曜:
  • 火曜:
  • 水曜:船のメンテ(船台)
  • 木曜:
  • 金曜:船のメンテ、漁具作成
  • 土曜:

 ご覧の通りのフルタイム漁師生活である。なぜ佐藤氏はシンクロの社員でありながら、“ガチ漁師”になったのか。

【特集】ワーケーション&多拠点生活のリアル
日報では漁で学んだことなどが詳しくつづられている
日報では漁で学んだことなどが詳しくつづられている
餌を針にかける作業など、漁に出ないときでもやるべきことがある。こういった地味な工程は実際にやってみないと分からない
餌を針にかける作業など、漁に出ないときでもやるべきことがある。こういった地味な工程は実際にやってみないと分からない

 「20年の緊急事態宣言が明けた後に対馬を旅行したとき、若手数人で漁業に挑戦している会社と出合い、日本の漁業には漁師だけでは解決できない課題がたくさんあることを知った。さらに1年以上漁師としてしっかり働けば漁業権が取れると聞いて、それは面白いんじゃないかと思い、冗談っぽく『漁師やってみる?』と聞いたら、佐藤が本気で『やりたい』と。そこで、シンクロに籍を置きながら、その会社のインターンとして20年末から1年間の予定で働かせてもらっている」と、シンクロ社長の西井敏恭氏。

マーケティングと釣りは似ている

 西井氏はオイシックス・ラ・大地(以下、オイシックス)のCMT(チーフ・マーケティング・テクノロジスト)や家庭用ロボット開発のGROOVE X(東京・中央)のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)も務める一方、バックパッカーとして2度世界1周するなど140以上の国を訪れた経験を持つ旅の達人。佐藤氏はバングラデシュで出会った旅仲間で、シンクロに入る前は島根の銀行員だった。釣りがすごくうまく、西井氏が日本各地に出張に行くとクルマで勝手に付いてきて、一緒に釣りをする仲だったという。

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