場所によって、売れる商品の傾向が異なることは、何となく感覚的には理解できるだろう。都市部と郊外では違うし、店の近くにどのような施設があるかによっても、売れ筋は変わってくる。ID-POS(ID付きPOS)などの購買データを使った分析の基本を紹介する本連載の第6回は、「5W1H」の中の「WHERE」に着目する分析方法をひもとく。

店舗のある場所の情報を組み合わせることで、購買データをさらに深掘りすることが可能になる。(画像/Shutterstock)
店舗のある場所の情報を組み合わせることで、購買データをさらに深掘りすることが可能になる。(画像/Shutterstock)

前回(第5回)はこちら

 前回までは、2回にわたり「WHAT」にフォーカスし、どんな商品が併買されやすいかを見て、「ついで買いの連鎖」を起こすための小売店の動線やコーナーのつくり方、効果的な販促方法をレクチャーした。今回は、「WHERE」を題材として、「どこで購入したか」のデータを分析する方法を見ていくこととする。

 同じ商品、同じ人でも、購入する場所によって、その購買する目的や買い方は必然的に異なる。そうした店舗がある場所にひもづいた分析を、True Data(東京・港)が提供するサービスである「カスタムパネル〈ドラッグストア版〉」を利用して行うというのが、今回の試みだ。

 具体的なデータを見る前に、場所によって目的や買い方が異なることのイメージを整理しておこう。例えば、ある消費者がいつもの好みのビールを買う場合、自宅近くの店であれば、すぐに消費せず、ストックする目的で購入することもあるだろう。だが、屋外のレジャー施設近くで買う場合は、基本的にその場で消費するのが購入の目的であると考えるのが自然だ。

 また、都市部にある店舗と郊外にある店舗では、同一カテゴリーでも売れ筋商品は変わってくる。仮説として、衣料用合成洗剤で考えてみると、都市部の店舗は、顧客が徒歩や自転車で来店することが多いため、持ち運びに適した比較的大きくないサイズの商品を購入するケースが多いのではないかと想定される。

 一方で、郊外にあってマイカーでの来店が中心の店舗では、トランクや座席に積めばよいため、大容量の商品が選ばれることも多くなるだろう。こうして、場所に注目して購買傾向の違いを見極め、それを生かして販売戦略を練ることが必要になる。

「次の全国ヒット」を発見するのに適した場は?

 では、実際のデータを見ながら検証していこう。まずは、ドラッグストアで販売されている衣料用合成洗剤について、前述の都市部(東京都の駅前)にある店舗と郊外にある店舗の売り上げ上位10商品の比較を試みる。都市部の店舗は持ち運びやすい商品、郊外の店舗は大容量の商品が売れると仮定したが、現実はどうだろうか。

■ 衣料用合成洗剤のSKU別売り上げランキング(上位10位)
■ 衣料用合成洗剤のSKU別売り上げランキング(上位10位)
期間:2020年11月~21年10月、業態:ドラッグストア データ出典:True Data

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