購買データの分析において、購入者の年齢層分布を調べることは一般的に行われる手法だ。だが、どの年代に主に売れているのかを見るだけではもったいない。年代ごとにトライアル率とリピート率をチェックすることで、次の打ち手が見えてくる。ID-POSなどの購買データを使った分析の基本を紹介する本連載。第3回は、年代別分析法を解説する。
最近、注目されているID-POS(ID付きPOS)では、自社の商品を「誰が」購入したのかが分かる。「5W1H」に沿って分析方法を解説する本連載では、前回の第2回でまさにその「WHO(誰)」に着目した分析手法を紹介した。初めて購入した顧客の割合(トライアル率)と繰り返し購入している人の割合(リピート率)を組み合わせて分析することだ。
第3回となる今回は、このトライアルとリピートという項目に加え、年代を掛け合わせてより深く分析する手法を見ていく。これによって、自社の商品がどの年代にどのような買われ方をしているのかが把握でき、次の打ち手を考える大きなヒントになる。
「トライアル率×リピート率×年代」で考えるとは、例えば、20代のトライアル率は高いがリピート率は低く、50代では逆にリピート率は高いがトライアル率は低い、といったイメージだ。もしこの商品が50代をターゲットにつくられていれば、トライアル率を上げるためにこの年代がよく買い物をする場でプロモーション活動を重点的に展開するなど、打ち手が見えてくる。年代別にトライアルとリピートの状況が分かることで、より具体的で効果的な施策を打つことが可能になるわけだ。
前回、トライアル率に関しては、商品発売以降の購入者の割合を示す「累積トライアル率」を用いたが、今回は新商品に限らず幅広く分析できるように、設定した期間内で店舗の来店客数に占める購入者の割合を示す「期間内トライアル率」(以下、トライアル率)で見ていく。リピート率については、前回同様、商品購入者のうち一定期間内に2回以上購入した顧客の割合を示す(期間は商品やジャンルによって異なる)。
トライアル率×リピート率の4象限で「立ち位置」を把握
分析に使うのは、縦軸をトライアル率、横軸をリピート率として4象限に分けた模式図だ。この図に年代ごとにプロットしていくことで、購入者の姿が見えてくる。
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