
ソラシドエア(宮崎市)は九州・沖縄の地域振興に機体を活用するプロジェクト「空恋~空で街と恋をする~」(以下、空恋プロジェクト)を実施している。2020年10月17日には、大分県南エリアをPRする機体「食♥️おおいた県南うすきつくみきてくださいき号」(以下、うすきつくみきてくださいき号)が運航を開始した。このユニークなネーミングはなぜ生まれたのか。
空恋プロジェクトは、ソラシドエアが運航する機体に九州・沖縄の地名などを表示し、その地域のPRに活用してもらおうというもの。1機体1自治体を基本に、1年間、機体に地名、ロゴ、イラストなどを表示するとともに、機内では各自治体が情報誌を置いたり、客室乗務員が独自のエプロンを着用したりするなど、それぞれの方法で特産物や観光地などをPRする。12年に最初の機体が運航を開始し、21年7月現在、28機目から31機目が運行中だ。うすきつくみきてくださいき号は28機目に当たる。
名前の由来は大分県南部の臼杵市、津久見市、佐伯市の3市の名前を組み合わせたもの。大分といえば別府や湯布院などの温泉で知られており、県も「おんせん県おおいた」を商標登録し、観光資源としてPRに力を入れている。ところが大きな温泉地は県の北部に集中している。「大分空港に降りた人に、どうすれば県南まで足を延ばしてもらえるかが課題だった」と、津久見市観光協会事務局長の紺田猛氏は言う。そのため、3市が連携する日豊海岸ツーリズムパワーアップ協議会(TPU)という組織を通じて共同戦線を張ってきた。
知名度の低さが課題
3つの市には特産の海産物をもつという共通点があり、それをアピールするのが名前の前半の「食♥おおいた県南」の部分だ。機体に描いたイラストも、臼杵市のゆるキャラ「ほっとさん」がトラフグを、津久見市の「つくみん」がマグロを持ち、佐伯市の「佐伯ごまだし大将」が佐伯寿司を薦めるなど、各市のゆるキャラがそれぞれの食の名物をアピールしている。さらに「食を入り口にして、実際に県南に来ていただければ、観光資源も豊富で面白い場所がたくさんある」(紺田氏)。とにかく一度来てもらおうと、県南の広域周遊向けのパンフレットを作成したり、ソーシャルメディア「note」で情報発信したりと、3市連携のプロモーションもTPUを通じて行ってきた。
知名度の低さも課題だった。
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