富士通が挑む13万人のDX経営

2020年7月に立ち上がり、10月に本格始動した富士通の全社DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト「フジトラ」。この大掛かりな変革を前に、同年4月にスタートした新しい人材育成プロジェクトが、「富士通デジタルカレッジ」だ。

「TOP FIRST」のPR動画をYouTubeで公開中。TOP FIRSTのSTEP2には、プロジェクトの狙いを各部門へ浸透させたり、情報発信をしたりすることなどが含まれている。社外にも積極的にプロモーションをしていく
「TOP FIRST」のPR動画をYouTubeで公開中。TOP FIRSTのSTEP2には、プロジェクトの狙いを各部門へ浸透させたり、情報発信をしたりすることなどが含まれている。社外にも積極的にプロモーションをしていく

 富士通デジタルカレッジが目指すのは、「富士通をDX企業へと変革させ、ビジネスや社会環境を見据えたDXを実現する人材育成・創出のエコシステムを形成する」こと。組織変革には人材の変革が欠かせないとして、富士通が目指す変革には人材育成や人材評価の制度なども含んでいる

前回(第4回)はこちら

 富士通のDX人材とは、発想力や実行力を備える人材のことで、「自ら問いを立て、その問いを解くためのソリューションを提供することにより、新しい価値の創出を目指せる人物を指す」としている。これは、必ずしも新ビジネスの創出に直結しなくてもいい。業務スタイルなどの変革に、力を発揮できる人材を指している。

 富士通では、DX人材に求める3つのスキルを定めている。それが、「デザイン思考」「アジャイル」「データサイエンス」の3つだ。そこに、富士通が得意とするAI(人工知能)や5G、クラウドといったテクノロジーなどを掛け合わせてDXの推進力とする。

 これら3つのスキルは、DXにおける「読み・書き・そろばん」のような位置づけだという。13万人の富士通グループ全社員にデザイン思考を浸透させるとして話題を呼んだのも、この取り組みの一環だ。

3つのスキルを学ぶ体験型プログラム

 3つのスキルを含め、自らを変革し続ける実践態度を学ぶ手法として用意した変革のための型が、体験型の「exPractice」プログラムだ。ここで、デザイン思考、アジャイル、データサイエンスを、実践を通じて学ぶ。デザイン思考やアジャイルは、広く知られているため、「知っているつもり」になっている社員は多い。スキルを単なる知識に終わらせないためには、デザイン思考などのスキルがなぜDXに必要かを理解してもらう必要がある。

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