富士通が挑む13万人のDX経営

富士通デザインセンターの前身となる富士通デザインは、富士通に吸収合併される1カ月前の2020年6月に、新たなデザイン組織の位置づけや役割を模索しようと、あるプログラムを実施した。それが「パーパス・カービング」で、後に富士通の経営トップも注目。DX(デジタルトランスフォーメーション)改革の基盤となった。

旧「富士通デザイン」で、6人のマネジャー層に実施した「パーパス・カービング」の「事後セッション」のグラフィックレコーディング。それぞれが導いたパーパスを持ち寄り、思いなども含めて共有し、コミュニケーションを重ねる
旧「富士通デザイン」で、6人のマネジャー層に実施した「パーパス・カービング」の「事後セッション」のグラフィックレコーディング。それぞれが導いたパーパスを持ち寄り、思いなども含めて共有し、コミュニケーションを重ねる

 パーパス・カービングとは、個人が働くことや生きることの意義を改めて見つめ直したうえで、企業、他者のパーパス(存在意義)とかけ合わせることで生まれる多様な力を、改革の原動力とする対話型の組織マネジメントプログラムだ。

 20年7月に発足した富士通のデザインセンターは、デザイナーが社内のさまざまな部門や事業部と共創し、企業変革であるDXを推進する大役を担っている。20年6月のときは、個人的なパーパスを起点に、吸収合併後のデザイン組織がどうあるべきかを参加者全員で共感しながら考える場を提供した。

パーパス・カービングは、個人のパーパスを削り出し、言葉にして共有する対話型プログラム。個人のパーパスと、会社、他者のパーパスをかけ合わせ、変革の原動力を生む
パーパス・カービングは、個人のパーパスを削り出し、言葉にして共有する対話型プログラム。個人のパーパスと、会社、他者のパーパスをかけ合わせ、変革の原動力を生む

前回(第2回)はこちら

【特集】富士通が挑む13万人のDX経営
【第1回】 13万人がデザイン思考 富士通「全社DXプロジェクト」の全貌
【第2回】 富士通のDX担当役員「デザイナーには企業変革のデザインを」
【第3回】富士通社長も注目 組織力を高める「パーパス・カービング」とは ←今回はココ
【第4回】 新生・富士通デザインセンター リーダーが語るDX推進の要諦

 プログラムを主導したのは、発案者であり、当時は富士通デザインで、現在はデザインセンターで「Transformation Designer」として働くタムラカイ氏と小針美紀氏だ。タムラ氏は、「デザイン組織が大きく変わる前に、自分たちでありたい姿を描こうというのが、パーパス・カービングの出発点」と振り返る。

富士通デザインセンター Transformation Designer タムラカイ氏
富士通デザインセンター Transformation Designer タムラカイ氏
富士通デザインセンター Transformation Designer 小針美紀氏
富士通デザインセンター Transformation Designer 小針美紀氏

3つのセッションで構成

 当時のパーパス・カービングは、「事前セッション」「個人セッション」「事後セッション」の3部構成で、富士通デザインの6人のマネジャー層に対して実施した。

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