
富士通デザインセンターの前身となる富士通デザインは、富士通に吸収合併される1カ月前の2020年6月に、新たなデザイン組織の位置づけや役割を模索しようと、あるプログラムを実施した。それが「パーパス・カービング」で、後に富士通の経営トップも注目。DX(デジタルトランスフォーメーション)改革の基盤となった。

パーパス・カービングとは、個人が働くことや生きることの意義を改めて見つめ直したうえで、企業、他者のパーパス(存在意義)とかけ合わせることで生まれる多様な力を、改革の原動力とする対話型の組織マネジメントプログラムだ。
20年7月に発足した富士通のデザインセンターは、デザイナーが社内のさまざまな部門や事業部と共創し、企業変革であるDXを推進する大役を担っている。20年6月のときは、個人的なパーパスを起点に、吸収合併後のデザイン組織がどうあるべきかを参加者全員で共感しながら考える場を提供した。
【第2回】 富士通のDX担当役員「デザイナーには企業変革のデザインを」
【第3回】富士通社長も注目 組織力を高める「パーパス・カービング」とは ←今回はココ
【第4回】 新生・富士通デザインセンター リーダーが語るDX推進の要諦
プログラムを主導したのは、発案者であり、当時は富士通デザインで、現在はデザインセンターで「Transformation Designer」として働くタムラカイ氏と小針美紀氏だ。タムラ氏は、「デザイン組織が大きく変わる前に、自分たちでありたい姿を描こうというのが、パーパス・カービングの出発点」と振り返る。
3つのセッションで構成
当時のパーパス・カービングは、「事前セッション」「個人セッション」「事後セッション」の3部構成で、富士通デザインの6人のマネジャー層に対して実施した。
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