ソニー復活の軌跡 “凡人”がイノベーションを生む驚異の仕掛け(画像)

純利益1兆円超え――。2021年3月期連結決算で大台を突破した“絶好調”ソニー。2008年度から4期連続で最終赤字に沈んだどん底から、約10年で驚異の復活を遂げた。本特集では、決算の数字からは分からないソニーの強さの秘密に迫る。第1回は、いかに“凡人”たちでイノベーションを起こし続けるか、「イノベーションのDNA」を社内に再び浸透させつつあるプロジェクトの真の成果を明らかにする。

ソニー本社内にあるラウンジが新たなイノベーションの発信基地に。7年間で17もの事業を生み出したプロジェクトの成果とは
ソニー本社内にあるラウンジが新たなイノベーションの発信基地に。7年間で17もの事業を生み出したプロジェクトの成果とは

 2008年度から4期連続で最終赤字に沈み、11年度には過去最大となる約4567億円の純損失に陥ったソニー。それから約10年で、ソニーが驚異の復活を果たした。

 「PlayStation(PS) 5」の発売やネットワークサービスの拡大で稼ぎ頭となったゲーム事業に加え、「鬼滅の刃」の大ヒットが記憶に新しいエンターテインメント事業(エンタメ事業)の伸長などが、21年3月期のソニーの収益急拡大を支えた。「エレクトロニクス(エレキ)のソニー」に限らず、長年にわたる多様な領域での種まきが実を結んでいるといえる。

 たゆまぬ種まき、つまり新領域へのチャレンジがソニーのイノベーションの歴史だ。振り返れば1960年代前後、「ソニーはモルモット」と評されていた。ヒットするかどうかも分からない斬新な製品を先んじて世に問う姿勢を揶揄(やゆ)され、「実験動物」に例えられたのだ。

【特集】大研究! ソニー 強さの秘密
【第1回】 ソニー復活の軌跡 “凡人”がイノベーションを生む驚異の仕掛け ←今回はここ
【第2回】 1年で商品化 京セラ&ライオン&ソニーの共創商品開発の舞台裏

 ソニー復活の背景には、そんな実験動物のDNAを体現するような、斬新なプロダクトを生み出すプロジェクトの躍進がある。業績へのインパクトという点では大きくはないが、社内にイノベーションの機運を高めている、改革の“本丸”だ。

 そのプロジェクトとは、「Sony Startup Acceleration Program」、通称SSAP。14年に立ち上がった、スタートアップの創出と事業運営の支援を目的とした新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」が前身で、19年に現在の名称に変更された。ソニーの既存事業部ではアプローチしにくい領域や、斬新ながらもニッチなものなど、アイデアの種を素早くキャッチアップし、事業化を支援する。バンド部に機能を入れ込んだスマートウオッチ「wena」や、キューブ型のロボットトイ「toio」、ウエアラブルサーモデバイス「REON POCKET」といったプロダクトの他、自動動画制作ソリューションや不動産関連サービスなど、7年間で事業化したアイデアは17にも上る。

SSAP(SAP)から事業化されたプロジェクトは17にも上る(写真は一例)
SSAP(SAP)から事業化されたプロジェクトは17にも上る(写真は一例)

“小さなイノベーション”が巣立ち、社内で躍動を

 ソニーがどん底から脱出しつつある14年に当時の社長兼CEO(最高経営責任者)だった平井一夫氏の肝煎りとしてスタート。SAP(SSAP)を立ち上げ、現在も率いる事業責任者の小田島伸至氏は、同プロジェクトがさまざまなプロダクトを生み出すのはもちろん、「それ以外の波及効果も小さくない」と明言する。

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