note(東京・港)のnoteプロデューサー/ブロガー徳力基彦が、企業のSNS巧者を直撃する本連載。第5回は、文藝春秋の編集部・電子版コンテンツディレクターの村井弦氏、EKIDEN New代表の西本武司氏をゲストに迎えた。SNSを活用して効果的に情報を伝えるコツを、編集者ならではの視点から聞いた。
徳力 基彦(以下、徳力) Webメディアの運営に携わるようになるまでの経緯や、自身がSNSをビジネスで活用するようになったきっかけを教えてください。
村井弦氏(以下、村井) 僕は雑誌『週刊文春』編集部で記者として4年間勤めた後、月刊の『文藝春秋』の編集者として、「文藝春秋digital」のnoteの立ち上げに携わりました。そのとき、SNSの活用を思い立ちました。
文藝春秋の記事は、論文や論考など、長文で難しい内容のものが多く、ネットで読んでいただくにはハードルが少し高い。そのため、皆さんに文藝春秋digitalに親しみを感じていただくための仕掛けが必要だと考えたからです。
そこで、僕個人が顔を出して話したほうが分かりやすいだろうと考え、Twitter、note、(音声SNSの)Voicyを使い、文章と音声で伝える取り組みを始めました。文藝春秋digitalの記事をいくつかピックアップし、それらのSNSで皆さんに丁寧に解説することを心掛けています。
文藝春秋 編集部・電子版コンテンツディレクター
西本武司氏(以下、西本) 僕はほぼ日在籍中に箱根駅伝にはまってしまい、選手たちが出場している競技会に出向くようになったんです。そこで撮った写真や大会の記録を、箱根駅伝を目指す永遠の大学生「公園橋博士」という名義でTwitterで発信し始めました。
そうしたらいつの間にかその活動が注目されるようになり、それを機に「EKIDEN News」というWebメディアを立ち上げました。今は、Twitter、Instagram、noteで関連情報を発信しています。
EKIDEN News代表
徳力 個人での情報発信を始めてよかったことは何ですか。
村井 仕事で初めてお会いするライターや専門家たちとのコミュニケーションが前よりも円滑になったことですね。僕がTwitterやnoteに書いた記事が、自己紹介文みたいな役割を担っています。
特に、2019年にnoteに書いた「文才の有無に関係なく、誰でもそれなりに整った文章を書くコツ」という記事は、たくさんの方に読んでいただけました。実際に会う前から相手が僕のことを知ってくれていると、非常に仕事を進めやすいです。
西本 僕が良かったと思うのは、SNSを通じて同じ駅伝好きな人たちと友達になれたことです。13年には、Twitterで知り合った人たちとOTT(オトナのタイムトライアル)というトラックレースの大会を始めました。18年にはOTTを一般社団法人化して、僕は今、代表理事を勤めています。SNSで「会社人」とは違う「新たな自分の顔」が生まれた感覚が、おもしろいですね。
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