note(東京・港)のnoteプロデューサー/ブロガー徳力基彦が、企業のSNS巧者を直撃する本連載。第4回のゲストは、ソフトバンクのコミュニケーション本部メディア統括部長の井上大輔氏と、Facebook Japan(東京・港)マーケティングサイエンス ノースイーストアジア地域統括の中村淳一氏だ。マーケターの視点でのSNS活用法や、発信した情報に対する反応を高めるための工夫について聞いた。
徳力 基彦(以下、徳力) お2人はどのようなSNSを使っていますか。また、それらを始めたきっかけを教えてください。
ソフトバンク コミュニケーション本部 メディア統括部長
井上 大輔(以下、井上) Twitter、note、Facebookを使っています。Facebookは友人とのコミュニケーション用で、ビジネス活用はしていません。
Twitterは比較的、長期間にわたって利用しています。東日本大震災前には、Twitterを使ったマッチングサービスをつくったこともあります。ただ、実は長いこと休眠状態でした。Twitterでの発信に力を入れ出したのは3、4年前からです。きっかけは、田端信太郎さんの著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言(幻冬舎)』を読んだこと。本に「広告マーケティング関係者はTwitterをやっていないとだめだ」「フォロワーが1000人いないとだめだ」と書かれていたのを読み、再挑戦し始めました。
Facebookマーケティングサイエンス ノースイーストアジア地域統括
中村 淳一氏(以下、中村) 私は、Twitter、Facebook、Instagram、note、LinkedInを使っています。FacebookとLinkedInは友人・知人とつながるためで、ビジネスでは使っていません。
Twitterは、2017年にFacebook Japanへ転職したのを機にビジネス活用を目的として始めました。前職では、SNSで発信することが社として認められていませんでした。ですが、現職でいろいろなマーケティングの考え方を知り、より(取引先の)現場の方々の声を聞く必要があると考えました。そこにTwitterは有効だと思いました。私としても、会社を超えてさまざまな人と知り合い、つながりをつくりたいという思いもありました。
徳力 noteとTwitterはどう使い分けていますか
井上 Twitterは、1番粗い“ものさし“だと思っています。実験的にばんばん発信して、皆さんが求めているトピックは何かを探るいわば一次フィルター。そこで反応が良かったものを、noteでしっかり文章にして届けるように使い分けています。私は「キャリブレーション=調整」と言っていますが、自分の感性と受け手の感性を調整するのがTwitterです。
中村 私はnoteを「コンテンツ」だと思っていて、マーケティングを中心に、あらゆる物事に対する自分の解釈をしっかり書いています。Twitterはその吐き出し口の1つですね。
井上さんが言うように、Twitterやnoteの反応を見ることで「このコンテンツは発信する意味があった」とか、「これは伝わらなかった」ということが分かるので、キャリブレーションができます。
自分の個性はフォロワーが教えてくれる
徳力 記事の内容についてはTwitterを通じて調整しながら選んでいらっしゃる。文章やコンテンツのスタイルはどうやって決めていきましたか。
井上 自分では決めていません。SNSはどちらかと言うと、我を殺すためにやっているところがあって。
Twitterに再挑戦し始めたころ、自分がいいと思うことや好きなことをツイートしてもまったく反応がなかったんです。そこで、皆が自分に求めるものをツイートするようにしたら、徐々に受けるものが分かってきました。そうして自分が好きなものと、人が自分に求めるものの違いがキャリブレーションされていったんです。
悪い言い方をすると、読者におもねっていることになるかもしれませんが、私自身としては自分の個性を皆さんが見つけてくれたと感じています。
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