子供がいる世帯で必要度が高まる死亡保険。満期が近づくにつれて受け取り総額が減る「三角形型」の収入保障保険は、従来主流だった定期保険と比べて保険料が節約できる。選ぶ際には、保険料の安さに加えて、「一括受け取り総額の減少率」と「健康体の基準」にも注目すべきだ。
※日経トレンディ2021年5月号の記事を再構成
一家の稼ぎ手が死亡したときに、遺された家族に「毎月10万円」など、保険金が定期的に給付される収入保障保険。死亡保険の一種だが、満期が近づくにつれて受取総額が減る「三角形型」で、子供が幼いうちは保障額が大きく、成長につれて減っていくというライフステージに応じた合理的な設計なのが特徴だ。保険期間中の保障額が固定される「箱型」の定期保険よりも、保険料を安く抑えられることが多い。
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死亡時に保険金が支払われるシンプルな掛け捨ての保険なので、各商品の保障内容に大きな差は無い。商品選びの一番の決め手となるのは保険料の安さだ。保険料は、年齢・性別に加えて、喫煙の有無や各社の「健康体」基準に入るか否かの条件別に大きく4パターンに分かれる。まずは自分の条件で最安となる商品を候補にすべきだ。
ただし、個々のケースによってはそれ以外にも留意しておくべきポイントがある。まずは商品によって差が大きい、「一括受取総額の減少率」だ。例えば、子の大学入学を前に一家の稼ぎ手だった父親が死亡し、預貯金では学費が十分に賄えないような場合には、ほとんどの商品で、通常は毎月年金方式で受け取る保険金を一括受け取りにできる。ただし、その場合は月払いと比べると受取総額が減ってしまう。この減少率が各社で大きく違うのだ。預貯金が十分でないなど、万が一のときに一括受け取りを選ぶ可能性が高い場合は、重要なファクターとなる。
もう一つ、最近の大きな話題と言えるポイントが「健康体」の基準だ。死亡保険では、非喫煙者や健康状態が良好な人など死亡リスクが低い加入者に「健康体割引」を設けていることが多い。そのため、この割引条件内に入るかどうかで保険料に大きな差が生じる。
健康体の基準は、基本的に喫煙の有無と血圧値・体形(BMI値)によって査定される。「BMI18~27、最高血圧140mmHg、最低血圧90mmHg」など、おおむね基準値は各社横並びだ。
既存商品では「ネオdeしゅうほ」(ネオファースト生命保険)が50歳以上の血圧基準を緩和している例はあったが、2021年3月発売の「はなさく収入保障」(はなさく生命保険)はさらに緩和。40歳以上でBMI値も含め基準を緩めた。BMIの上限が1上がれば、体重が2~3キログラム重くても健康体の範囲に入る。「あと少しで健康体基準内に入れるのに」というボーダーラインぎりぎりの人は、諦めて割高な保険料を払う前に、この商品やBMI値を基準としない「こだわり収入保障」(マニュライフ生命保険)など、自分が健康体と査定される商品がないかをチェックすべきだ。
逆に、健康体の基準を狭めて保険料を安くしたのが、東京海上日動あんしん生命保険。従来は喫煙無しの基準しか無かったが、血圧とBMIが追加された。今後も健康体基準の見直しは各社で続きそうだ。
また、今はまだ健康状態に自信が無くても、数年後には割引を受けられる基準まで改善したいと思っている人は、「健康☆チャレンジ!」制度を設けているSOMPOひまわり生命保険「じぶんと家族のお守り」もユニークな選択肢だ。
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