
政府が旗を振るスーパーシティ型国家戦略特別区域の公募には、全国の自治体31組が名乗りを上げた。この他にもスマートシティの実現を推し進める自治体は少なくなく、日本ではスーパーシティ/スマートシティ実現への動きは加速しそうだ。では翻って海外の状況はどうか。野村総合研究所の専門家に、実情を聞いた。
「まずスマートシティという新しい都市の在り方として、デジタル技術とデータをうまく活用して、既存のまち全体を変革し、競争力のある街をつくりたいというコンセプトを掲げているところが、欧州には多い。いわゆる『ブラウンフィールドのスマート化』を狙ったスマートシティ。中東のドバイとか、東南アジアのシンガポールなども似たようなコンセプトを打ち出している。それ以外に、街区をゼロから再開発して都市の課題をデジタル技術で解決するという、いわゆるグリーンフィールドで、課題解決型のスマートシティも海外では見られる」
こう語るのは、野村総合研究所(NRI)コンサルティング事業本部アーバンイノベーションコンサルティング部プリンシパルの石上圭太郎氏だ。
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今回、日本で主に自治体を対象に政府が公募したスーパーシティは、「都市を丸ごとデジタル化し、データ連携基盤(都市OS)を整え、その上でデータを連携させたさまざまなサービスを展開して、先進的なまちづくりを進める」という考え方を基本とする。その意味で、欧州の多くやシンガポールなどで進められている、まち全体を変革するスマートシティが、日本のスーパーシティと似たコンセプトで進められていると言ってよい。
自転車シェアリングやスマート照明を実現したバルセロナ
このまち全体を変革する取り組みとして、石上氏がまず名前を挙げるのが、「スペイン北東部の地中海沿岸に位置するカタルーニャ州の州都バルセロナ」だ。2000年から大規模なスマートシティプロジェクトを推し進めてきた。具体的にどんなことに取り組んでいるのか。
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