スーパーシティ 近未来都市の実像

長野県松本市は、「松本モデル」として知られる病院連携システムと、「市内の電力周波数が異なる」という松本独特の事情を生かす形で、「サステナブルな医療・福祉・健康」と「再生可能エネルギー」を前面に打ち出し、スーパーシティに名乗りを上げた。先進的なまちづくりで首都圏からの移住、企業誘致を促す。

松本市がスーパーシティ構想で打ち出した「出かける医療機関による地域医療の高度化」というプランの第2段階「車両を用いたオンライン診療・服薬指導」のイメージ(出所/松本市)
松本市がスーパーシティ構想で打ち出した「出かける医療機関による地域医療の高度化」というプランの第2段階「車両を用いたオンライン診療・服薬指導」のイメージ(出所/松本市)
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 長野県のほぼ中央に位置し、豊かな自然に恵まれ、国宝・松本城を擁する松本市。人口はここ20年ほど24万人前後で推移しているが、将来は人口減少が見込まれている。そこで、首都圏から地方への移住を決断する人々を松本市に呼び込もうと考えた。そのためには先進的なまちづくりを推し進め、住みやすい魅力的な町を実現する必要がある。その手段の1つとして、2020年9月、スーパーシティ構想に名乗りを上げようと決めた。

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 もっとも、競争相手となる自治体の多くは、2年程前からデータ活用やデジタル技術の活用などに取り組んできた実績がある。「これら先行した自治体と互角に競うには、松本ならではの強みを生かした提案をしないと難しい」(松本市副市長の宮之本伸氏)。そこで「医療・福祉・健康」と「再生可能エネルギー(100%カーボンニュートラル)」を軸に据えることを考えた。

病院が連携する「松本モデル」はコロナ禍にも効果を発揮

 松本市は10万人当たりの医師数が全国平均の1.5倍と、もともと医療環境は充実している。しかも15年以上前から、松本市を含む3市5村に存在する、国立、市立、私立といった設立母体の異なる病院同士が連携し、救急医療や災害時の役割分担を議論してきた。

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