
スーパーシティに名乗りを上げた自治体の中で、既存の都市を丸ごと変革しようとする「ブラウンフィールド型」を代表する1つが、福島県会津若松市だろう。東日本大震災が起きた2011年以降、約10年にわたって、会津大学やアクセンチュアなどとスマートシティ化に取り組んできた。その実績を踏まえ、住民の意向を第一に考えるまちづくりを目指す。
名乗りを上げた他の自治体の構想と見比べたとき、会津若松市がスーパーシティで目指すまちづくりの特徴は、大別して2つある。
1つは、その取り組みのプランが多彩であることだ。いくつかの特色ある取り組みを提案の前面に打ち出した自治体が少なくない中、会津若松市は「食・農業」「モビリティ」「廃棄物」など12もの領域でデータ活用とデジタル化の推進を掲げている。
もう1つは、「オプトイン&パーソナライズ」を掲げていることだ。住民からの同意、つまりオプトインを得たうえで個人情報の提供を住民から受け、そのデータを活用して、住民一人ひとりに合ったパーソナライズされたサービスの提供を目指す。オプトインは他の自治体も想定しているが、会津若松市の場合、これまでの約10年の取り組みで住民合意のプロセスを丁寧に踏み、データ提供に同意するID登録者の数を約1万2000人まで増やしてきたという実績がある。パーソナライズされた魅力的なサービスを打ち出すことで、データ(個人情報)の提供を自然な形で受けるという、好循環を今後も進めていくつもりだ。
【第2回】 大阪スーパーシティはどうなる? 「大阪版デジタル庁」の構想も
【第3回】 病院待ち時間15分 スマートシティで先行、会津若松の全方位戦略 ←今回はココ
【第4回】 「電子市民」を2030年に100万人規模へ 加賀市の仰天プラン
都市OSは既に稼働し、企業が集まるオフィスも開設
会津若松市が他の自治体と異なり、12もの領域でデータ活用とデジタル化の取り組みを打ち出せるのは、これまでの実績があるからだ。
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