
スーパーシティに名乗りを上げた石川県加賀市は、日本で初めて「電子市民」という新たなカテゴリーを設けるプランを提案に盛り込んだ。マイナンバーカードと連携した住民IDを市外の“バーチャル市民”にも適用し、市との「関係人口」を増やす新たな地方創生モデルがそこにあった。
石川県南西部に位置する、温泉地としても有名な加賀市。少子高齢化が進み、2021年1月時点で高齢化率は全国の28.4%より高い34.8%となっている。人口は1985年の約8万人をピークに半世紀間に半減すると予想され、2014年には日本創成会議が示した「消滅可能性都市」の1つに指摘された。人口減少、観光客減少の課題を解決するため、同市は「電子市民」という新たなカテゴリーを設け、スーパーシティに名乗りを上げた。
マイナンバー交付率は65.1%
そもそも同市は20年3月に「加賀市スマートシティ宣言」を行うなど、テクノロジーを活用した街づくりに取り組んできた。その中でも次世代電子行政の実現に向けて、マイナンバーカードの普及が進んでいる。総務省が開示するマイナンバーカード交付状況によると、21年5月1日時点で日本全国の人口に対する交付率が30.0%なのに対し、同市は65.1%に達している。全国の特別・市区の中でナンバーワンの実績だ。
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これほど高い交付率を記録している理由は、20年6月からマイナンバーカードを新たに申請した人と保有している人に、市内で使える5000円分の「かが応援商品券」を配布するなど、普及促進を積極的に行ってきたことがある。また、すでに人間ドックの助成金申請や行政情報の公開など150種類以上の行政手続きがインターネットを通じて行えるようになっている。「市の裁量で行える申請は、全て電子化しようとしている」と加賀市政策戦略部 次長兼スマートシティ課マネジャーの岡田隆之氏は話す。実際のサービスが伴っているからこその交付率の高さだろう。
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