
家電分野では、コロナ禍で料理をする時間が増えたことで、手間を省ける調理家電が人気を博した。特に大きなヒットとなったのは、パナソニックの高級トースター「ビストロ NT-D700」。2種類のヒーターを搭載し、冷凍パンをおいしく焼けることが支持された。ウイルスを減らす効果があるとうたう空気清浄機や振動が強い小型マッサージ機など、新ジャンルの家電も大きく伸びた。
※日経トレンディ2021年6月号の記事を再構成
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で外食の機会が大幅に減り、料理をすることが自然に増えた。このため2020年には、電気調理鍋やホットプレートなど、手間を省ける調理家電がよく売れた。21年もこの流れは続いているが、目立つのは、より高級でユニークな家電のヒットだ。
長らくバルミューダの「BALMUDA The Toaster」が君臨してきた高級トースターの牙城を崩したのが、パナソニックの「ビストロ NT-D700」だ。バルミューダのトースターはスチームを使ってパンの中をもっちりさせつつ焼くのに対し、NT-D700は遠赤外線と近赤外線の2種類のヒーターを使い、焦げ目を付けつつ内部も温める。
厚切りのパン、特に冷凍パンでこの2種類のヒーターが威力を発揮する。高級食パンの有名店である「乃が美」とキャンペーンなどで組んだのも、厚切り食パンがおいしく焼けるというイメージにつながった。その結果、2万7500円(税込み)と、バルミューダのトースターより高価にもかかわらず、品薄状態が続いている。
【上半期ヒット大賞】厚切りパンに強さを発揮 品薄が続く
ビストロ NT-D700(パナソニック)
遠赤外線ヒーターで表面を焼きつつ、近赤外線ヒーターで内部をふんわりと温める。「厚切り食パンに最適」とのイメージが定着して人気に。パナソニックは販売台数を公表していないが、前モデルの2倍の台数が売れているといい、「現在も入荷までお待ちいただく状況が続いている」(ビックカメラ)。
この他にも、1万9800円(税込み)のグリルプレート「abien MAGIC GRILL」(J-FUN)や、約10万円の高級炊飯器「土鍋ご泡火炊き JPL-A100」(タイガー魔法瓶)など、様々な高級調理家電がヒットしている。
【上半期ヒット】厚さ3ミリのスタイリッシュなグリルプレート
abien MAGIC GRILL(J-FUN)
独自のフィルム加工を施した厚さ3ミリメートルのグリルプレートで焼く調理家電。デザインがスマートで、両端がわずかに湾曲しており油などがこぼれない仕組みもユニークだ。価格は1万9800円(税込み)。ECのみの販売で「4月時点でおよそ2カ月待ち」(J-FUN)の状態だ。
【上半期ヒット】「土鍋」訴求で高級炊飯器市場2位
土鍋ご泡火炊き JPL-A100(タイガー魔法瓶)
「炊きたて」シリーズ50周年モデルとなる、実勢価格9万9700円(税込み)の高級炊飯器。内なべが「土鍋」であることを訴求しつつ、ご飯の香りなどを保つ「おひつ保温」機能を搭載した。前モデルに比べて販売数が165%に伸び、高級炊飯器市場で同社のシェアを大きく押し上げた。
【上半期ヒット】チョコレートドリンクが人気に
Velvetiser(ホテルショコラ)
英国のチョコレートブランドが家電メーカーと組んで開発したドリンクメーカー。冷たい牛乳と専用のチョコレートフレークで作る。実勢価格は1万円(税込み)。「コロナ禍で試飲イベントができなかったのに圧倒的に売れた」(蔦屋家電エンタープライズ)。
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