2021年、エンタメ業界にとってはリアルなイベントができずに苦しいときが続いているが、その中でもヒットコンテンツは次々に誕生。その多くは、これまでの成功事例をもとに大手が仕掛けたものではなく、新たなトレンドを象徴したものだ。ひもといていくと、「プロも初心者も仲間」「昭和の再来」「超緊張感」という3つのキーワードが浮かび上がる。

※日経トレンディ2021年6月号の記事を再構成

 コロナ禍で苦しいときが続く2021年のエンタメ業界だが、その中でもヒットコンテンツは誕生している。その多くは、これまでの成功事例をもとに大手が仕掛けたものではない。新たに生まれたトレンドをひもといていくと、3つのキーワードが見えてきた。

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 まずは、「プロも初心者も仲間」。ゲームアプリで異例のヒット現象を見せた「ウマ娘 プリティーダービー」は、実際の競馬シーンをリアルに再現。競馬ファンをうならせる一方、美少女ゲーム、育成ゲームとしてごく一般の利用者からも支持を獲得。全く違う層を、それぞれの観点から惹きつけている。

 音声チャットでのだまし合いが醍醐味のゲーム「Among Us」は、突拍子もない行動で場をかき乱す初心者が交じっているからこそ面白い。また格闘技の「RIZIN」は、グローブが薄いためKOで試合が決まることも多く、初心者でも夢中になれる。間口が広く、ハマると抜け出せないものが多くそろった。

■キーワード1 「プロも初心者も仲間」
コアなファンも初心者も同じように楽しめる
コアなファンも初心者も同じように楽しめる
ウマ娘 プリティーダービー(写真上)、Among Us(同中央)、RIZIN(同下)。エンタメコンテンツがヒットするには、ターゲットの間口が広いことが絶対条件。21年上半期はアニメ、ゲーム、格闘技など様々なジャンルで、その道のプロも、初心者も楽しめるものがブレークした。ハマればハマるほど深い楽しみ方ができるようになり、より抜け出せなくなる
(c)Cygames, Inc. (c)Innersloth LLC (c)RIZIN FF

 音楽分野では、2つのキーワードに注目。一つは、1970〜80年代の日本のシティポップが世界中で今ブームとなっている「昭和の再来」だ。一方、新しくヒットの源泉となっているのは、YouTubeチャンネルの「THE FIRST TAKE」。アーティストが生歌を一発撮りする「超緊張感」がヒットの芽となり、20年のNHK紅白歌合戦で「夜に駆ける」を披露したYOASOBIなどが躍進するきっかけにもなった。

■キーワード2「昭和の再来」
シティポップブーム
シティポップブーム
山下達郎や竹内まりや、大瀧詠一などに代表されるシティポップが、リリース当時を知らない日本の若者に、そして世界的にもヒット。「新しい音楽」として逆にその価値が認められ、ブームにつながった
■キーワード3「超緊張感」
THE FIRST TAKE
THE FIRST TAKE
アーティストが一発撮りで生歌を披露するYouTubeチャンネルが、新たな新星発見の場に。時には失敗もあり得る、ライブを見ているかのような緊張感がカギだ

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