
緊急事態宣言が発令された都府県では飲食店への酒類提供の自粛要請で、居酒屋チェーンなどが軒並み臨時休業に追い込まれた。だが繁華街に閑古鳥が鳴く中、ノンアルコールで勝負する店舗もあった。
居酒屋チェーン「世界の山ちゃん」は、緊急事態宣言エリアで休業したチェーンが多い中、酒類提供なしで営業を続けた数少ないチェーンの1つだ(一部店舗を除く)。看板メニューである手羽先が集客の武器になっているのが山ちゃんの強みだが、ドリンクメニューにも特徴がある。ページの隅っこに申し訳程度にウーロン茶やオレンジジュースが載っているメニュー表とは異なり、4ページのうち1ページがすべてノンアルコール・ソフトドリンクメニューで占められている。「下戸でも選ぶ楽しみがあってうれしい」といったツイートも散見される。以前からノンアルメニューを充実させてきたことが、緊急事態宣言下では強みになった。
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ノンアルを強化している店は他にもある。東京メトロ半蔵門線水天宮前駅近くに立つロイヤルパークホテル(東京・中央)は、2021年5月1日から6月末まで、Mizkan(ミツカン)とのコラボレーション企画「ノンアルビネガーカクテルフェア」を開催中だ。ヘルシー志向の人や酒が苦手な人にも、ホテルのラウンジ&バーを楽しんでもらうことが狙い。ポン酢とトマトのジンジャー、ブルーベリー黒酢 豆乳シェイクなど、ミツカンのさまざまなお酢ドリンクを使用した6種のノンアル創作カクテルを、バーデンダ―がシェーカーを振って提供している。料金は1杯1452円(税・サ込み)。宣言下で酒類を提供できないバーが一転、華やかな限定ノンアルメニューを提供できるタイムリーな企画になった。
JR恵比寿駅東口から白金方面に向かって北里大学病院近くにあるフレンチレストラン「アルゴリズム」(東京・港)。ランチ、ディナーともおまかせコースのみで、ワインペアリングの他に、ノンアルコールペアリングも用意している。食事内容に合わせてオリジナルのスープを出したり、時にはイクラを“飲み物”として提供したりと、ワインペアリング客からもうらやましがられる独創的なノンアルペアリングが話題だ。今回の緊急事態宣言下では、ノンアルペアリングのみの提供になった。ノンアルペアリングは5杯で5500円(税・サ込み)。高級フレンチ店だからこその取り組みではあるが、客単価が低くなりがちな飲まない(飲めない)客でも客単価を上げられる可能性を示している。
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