
ロボット掃除機「ルンバ」を貸し出す、アイロボットジャパン(東京・千代田)のサブスクリプションサービス「ロボットスマートプラン+」が好調だ。この1年で会員数は数倍になったという。好調の要因は2020年6月のプラン見直しだ。同社にとって初めての事業だったため、慎重にサービスを設計した。ところが、初年度は必要以上にリスクヘッジをしていたことが顧客の利用データから明らかに。データを基にプランを大幅に変えたことが成功につながった。
ロボットスマートプラン+は、月額1078円(税込み、以下同)からルンバシリーズを借りられるサービスだ。上位モデルの「ルンバ i7」も月額4180円で借りられる。掃除機だけでなく、床拭きロボットシリーズ「ブラーバ」も複数機種を貸し出している。契約期間中は無償で修理を受け付け、6カ月以上の利用という条件付きではあるが、家庭環境に合わなければ途中で返品も可能だ。
加えて、より短期間で借りられるサービスも提供している。「おためし2週間コース」がそれ。月額1650円の「ルンバ e5」の場合、2週間コースでは2480円で貸し出している。月単位で借りるサービスに比べて料金は割高だが、月額プラン契約後の6カ月間以上の利用という縛りがなく、不安を軽減できる。さらに同コースの利用後、月額プランに移行した場合には2週間コース分の料金がキャッシュバックになるうえ、月額プランが1カ月分無料になる。
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この短期と長期のプランの組み合わせが好評で、急速に会員数を増やしている。「2020年3月と21年3月で比較すると、契約者数は数倍以上に増加した」とアイロボットジャパン執行役員の山田毅マーケティング本部長は明かす。
現在のプランを提供し始めたのは20年6月のこと。このプランを「バージョン2.0」と呼ぶ。サブスクサービスを開始した19年6月から1年間かけて、顧客の利用動向やアンケートの回答を詳細に分析した結果を基にプランを刷新した。
売り切り型事業だったアイロボットにとって月額制のサービスは初めての事業。そのため、初年度は慎重にサービスを設計していた。1年間のサービス提供で得たデータから、必要以上にリスクヘッジをしていたことが明らかになった。長期の契約という縛りが、契約の二の足を踏ませていた面もあるだろう。この学びを生かし、プランを見直したことが奏功した。では、具体的にどのようにプランを見直したのだろうか。
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