サブスクビジネス、失敗からの脱却

「サブスク」という愛称で、すっかり消費者に定着した「サブスクリプション」ビジネス。動画配信サービスやストリーミング音楽配信サービスといったデジタルメディアから勃興した市場は、メーカーや飲食店へと事業領域が広がっている。一方で、撤退する企業も現れている。成否を分かつポイントは大きく5つ挙げられる。本特集ではその失敗を乗り越え、事業を成功に導いた事例と併せて紹介する。

資生堂は2020年6月にひっそりと化粧品のサブスクリプションサービス「Optune(オプチューン)」を終了した
資生堂は2020年6月にひっそりと化粧品のサブスクリプションサービス「Optune(オプチューン)」を終了した

 2020年6月30日、資生堂はサブスク型のパーソナライズ化粧品サービス「Optune(オプチューン)」をひっそりと終了させた。スマートフォンのアプリと連携して、写真を撮影するだけでAI(人工知能)が利用者の肌を解析し、数万通りの配合から一人ひとりに合った美容液を抽出するIoT機器を貸し出すサービスだ。大手企業が取り組むサブスク事業として注目を集めたものの、19年7月のサービス開始からわずか1年で撤退となった。

【特集】サブスクビジネス、失敗からの脱却
【第1回】 サブスクの成否を分かつ「5つのポイント」 資生堂、ZOZOも撤退 ←今回はココ
【第2回】 トヨタのKINTOはサブスクなのか? それとも単なるリースなのか?

 サブスク事業に挑戦したものの撤退を決めた事例は他にもある。レインズインターナショナル(横浜市)は、19年11月に焼き肉チェーン「牛角」で始めた月額1万1000円で焼き肉食べ放題のサブスクサービスを開始から約2カ月で終了した。サブスク会員が店舗に殺到してしまい、一般来店客の利用を阻害したことが要因だった。その後、料金体系を改めて再開したものの、現在は提供していない。

この数年で撤退した、主なサブスクリプションサービス
この数年で撤退した、主なサブスクリプションサービス

 BtoC(消費者向け)サブスク事業は、動画配信サービス「Netflix」やストリーミング音楽配信サービス「Spotify」が、「所有」から「利用」へと移り変わる消費者の志向を捉えて成功した。これを機に市場が急拡大し、アパレルやビール、近年ではクルマのサブスクも登場するなど、新たな事業が相次ぎ生まれている。サブスクは月額会員が拡大することで、安定収益が見込めるのが利点だ。会員数に応じた収益が毎月入るモデル故に、未来の収益を予測し、そこから逆算したマーケティング戦略も立てやすい。少子高齢化やライフスタイルの変化で、新規顧客の獲得が難しくなる中、サブスク事業で収益の土台を築きたいと考える企業が増えているのは当然だろう。

 だが、特にモノのサブスクの領域では成功例がまだ少ない。上述のように撤退する企業もいる。何が成否を分かつポイントになるのか。その理由は「サブスクの本質の理解」「提供価値の設計」「プレミアム感」「顧客のデータ化」「収益を得る仕組み」の5つだ。それぞれ1つずつ解説していこう。

サブスクの成否を分かつ5つのポイント
サブスクの成否を分かつ5つのポイント

売り切り型とサブスク型のモデルの違い

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