サブスクビジネス、失敗からの脱却

資生堂の「Optune(オプチューン)」やAOKIホールディングスの「suitsbox(スーツボックス)」などが撤退した理由は何か。うまくいく可能性はあったのか。サブスクリプションを含めビジネスモデルを研究する兵庫県立大学の川上昌直教授に、日本企業がサブスクを成功させるための処方箋を聞いた。

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川上 昌直(かわかみ まさなお) 氏
兵庫県立大学国際商経学部教授、博士(経営学)
1974年大阪府生まれ。2012年兵庫県立大学教授。専門はビジネスモデル、マネタイズ。著書に『「つながり」の創りかた― 新時代の収益化戦略 リカーリングモデル』(東洋経済新報社)、『ビジネスモデル思考法』(ダイヤモンド社)など。
【特集】サブスクビジネス、失敗からの脱却
【第1回】 サブスクの成否を分かつ「5つのポイント」 資生堂、ZOZOも撤退
【第2回】 トヨタのKINTOはサブスクなのか? それとも単なるリースなのか?
【第3回】 Netflixやキリンのサブスクはなぜ成功したのか カギは優越感 ←今回はココ

資生堂のOptuneやAOKIのsuitsboxなど、サブスクサービスの撤退が相次いだ理由をどう分析していますか。

川上昌直⽒(以下、川上⽒) もちろん、それぞれ理由は異なります。Optuneは素晴らしい取り組みだったと思いますが、やはり、自分で好きなものを買うよ、というように受け取られたのかもしれません。でも今withコロナの巣ごもり需要の中で、もう1度リニューアル展開したらうまくいく可能性はあると思います。

 AOKIのsuitsboxは価格が安く、大盤振る舞いでしたね。普通にリピーターとして買ってくれていた人たち、つまりお得意さんが得をしてしまうシステムでした。運営している企業としては、収益に天井ができて、苦しい状態になってしまう。リピーターというのは現状の製品やサービスを愛してくれて、払ってくれるのだから、ある意味、そのままの関係を続けて好きなように買ってもらうのが、お互い幸せなわけです。あえてサブスクに移行させる必要はないのです。

 お客さんと企業のウィンウィンな関係をどう結ぶかということに尽きます。お客さんに過度に寄り過ぎると損失が出るので、企業としては事業の継続性を保つことができません。その場合でも1つだけ方法があります。販促に使うと割り切るのであればいいと思います。

 広告費や販促費の代わりとして、お客さんに還元しつつ、集客の装置にするという形でサブスクを活用する手はあります。例えば、限定人数でお得な飲み放題や食べ放題を提供している居酒屋などは販促サブスクといえます。これらの「販促サブスク」は、一からビジネスとして成立させるために最適化した「事業サブスク」とは分けて考える必要があると考えています。

これら撤退したサブスクは、やり方を変えればうまくいった可能性はあるのでしょうか。

川上氏 大いにあります。まずは事業単位として独立するほうがいいと思います。

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