
単なる業務のデジタル化だけでなく、顧客体験を軸に企業改革につなげている企業が、愛媛県にある地方銀行の伊予銀行だ。顧客との接点をデジタル化で強化し、他行に負けないサービスを打ち出すことが狙い。コンセプトは「D-H-D(デジタル・ヒューマン・デジタル)Bank」で、デジタルと人(ヒューマン)のそれぞれの利点を生かす。
「リアル店舗を持ち、お客さまとのコミュニケーションにより課題を解決する地銀の強みを、より発揮できるようにしたかった。お客さまとの最初の接点はデジタルで、さらに提案などのコンサルティングは人が行い、その後もデジタルでいつでもどこでも相談を受けられる、という体制に企業全体を変えようとした」と、伊予銀行総合企画部課長の石川秀典氏は話す。
起点となるデジタルが、口座開設などの申請手続きを店頭のタブレット端末で顧客自ら入力できるようにした「店舗受付AGENTアプリ(以下AGENT)」だ。企業のコンセプトづくりから端末の開発までアクセンチュアと推進し、2018年9月から各店舗に導入。使いやすさなどが評価され「2019年度グッドデザイン賞」を受賞している。21年6月以降にはスマートフォンで使える同様のアプリも展開する計画。顧客のスマホに搭載し、行員とビデオチャットでつなげる。
事務作業を約80%削減
一般に銀行での手続きは複雑で、多くの入力フィールドの記入に手間取ったり記入漏れが発生したりするなど、顧客がストレスを感じる要素が少なくない。これをそのままシステム化しても、うまくいかないだろう。AGENTの特徴は圧倒的な使いやすさだ。
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