最高のオンライン体験をデザインせよ

コロナ禍で顧客が求める体験はどう変わるのかを、アクセンチュア インタラクティブ本部の番所浩平氏に聞いた。同本部は2013年、世界的なデザインスタジオの英Fjord(フィヨルド)を傘下に加え、顧客体験を中核に企業変革を支援。この1年で企業が押さえるべき最新のデザイントレンドをまとめたリポート「Fjord Trends(フィヨルドトレンド)」も毎年作成している。新しいUX(ユーザーエクスペリエンス)は、どうつくればいいのか。

「Fjord Trends 2021」より
「Fjord Trends 2021」より

前回(第6回)はこちら

2021年3月に日本語版が出た最新の「Fjord Trends 2021」の内容について教えてください。

この年次リポートは、今回で14回目になります。日本だけでなく世界の社会課題に関連したデザイン事例や取り組みについて、各国のFjord などにいる合計2000人のデザイナーが調査し、グローバルな議論から、今後注目すべきデザイントレンドをまとめています。

番所浩平氏
(写真提供/アクセンチュア)
番所 浩平(ばんしょ こうへい)氏
アクセンチュア インタラクティブ本部マネジング・ディレクター兼Fjord Tokyo共同統括グループ・ビジネス・ディレクター
エンターテインメント企業向けのコンサルティングに従事した後、2012年にモバイルサービスの戦略策定エキスパートとしてアクセンチュアへ入社。14年よりUXデザインを専門とするデザイナー組織の統括を行う。19年11月にデザインスタジオのFjordの東京における拠点を立ち上げた

 21年のトレンドは「新しい領域の地図づくり」としました。将来を見通すと、発展の可能性のある多数の領域が目の前に広がっているからです。20年の同リポートでは「原理原則の再考」をトレンドに掲げ、これまでの生き方や働き方、学び方、買い方、遊び方などが大きく変わってきたことを取り上げました。新型コロナウイルス感染症拡大により、こうした動きがさらに加速しています。私たちは未知の領域に進んでおり、怖いかもしれませんが、楽しみでもあります。21年の行動こそが、21世紀の再定義につながると思います。

コロナ禍ならではの楽しみ方を

どのような背景から、「新しい領域の地図づくり」としたのですか。

世界的に見ると「新しい領域の地図づくり」の背景には7つのトレンドがありますが、このうち日本市場に関連が深い4つを紹介しましょう。1つ目のトレンドは文字通り「歴史的転換」です。コロナ禍によって世界全体が変わり、私たちの生活様式もリアルからオンラインへと大きく変わらざるを得なくなりました。大人数のコミュニティーも制限され、単独もしくは限定的な規模へと縮小しています。そうした変化の中で、私たちは新しい楽しみを見いだしています。

 例えば20年に開催された「ロンドンマラソン」では、市民ランナーが自らのコースを決めてアプリで距離とタイムを計測する「バーチャルマラソン」の部門がありました。約5万人が参加し、ロンドンに行かなくても体験できる。コロナ禍ならではの楽しみ方といえそうです。

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