
「スマホで3分! いつでもどこでも引っ越し予約」──。引っ越しサービスのアップル(東京・中央)が手がける「ラクニコス」は料金確定から予約までを完結できる専用サイトだ。開始から3年で受注件数が6.5倍に増えた。「無駄なやり取りがなくてUX最高」とユーザーがつぶやくほどの「簡潔明瞭」なアップル流の引っ越しとは。
引っ越し業界はサカイ引越センター、アートコーポレーション(アート引越センター)、全国引越専門協同組合連合会(ハトのマークの引越センター)ほか大手5社で市場シェアの半数以上を占める。残りのシェアの中に約250あるといわれる引っ越し業者がひしめいており、そのほとんどが中小企業だ。
全国23拠点で「アップル引越センター」を展開するアップル(東京・中央)も、そのうちの1社だ。売上高は12億円(2018年7月期)、17億円(19年7月期)、21億円(20年7月期)と急成長を続けている。
創業者の文字放想(もんじゆきお)社長は36歳。14歳から引っ越しのアルバイトを始め、20年以上の業歴を持つ。顧客ニーズや業務フローを知り尽くした文字社長が手がけたのが、ネットで料金確定と予約ができる業界初のサービス「ラクニコス(楽に越す)」だ。16年11月のサービス開始後、年間受注件数は増加の一途。この3年間で6.5倍(17年3901件から20年2万5356件)に伸び、同社成長の原動力となった。
「引っ越しは面倒なもの。引っ越しを決めた瞬間はテンションが上がるが、引っ越し業者から見積もりを取って決定し、荷造りをして……と手間のかかる作業になると、テンションは下がってしまう」と文字氏。できる限りユーザーの「面倒」を減らし、顧客満足度の高い経験(UX)にしたいという。「引っ越しを通じてひとつでも多くの笑顔を生み出し、笑顔溢れる世の中にすること」がアップルの理念だ。
アップルがメインターゲットとしてきたのは、首都圏に住む20代、30代の単身者と、2~3人の小家族だ。「賃貸住宅に住み、多くが契約更新時期に引っ越しをする。高所得で仕事が忙しい人も多く、多少の料金差よりも利便性を求める傾向が強い」(文字氏)。単身者は平日に引っ越す人も多く、トラックの稼働率を上げやすい。
こうしたターゲット層はスマホ世代でもある。そこでスマホ世代に馴染むようなオンライン予約専用サイト「ラクニコス」の開発に踏み切った。
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