最高のオンライン体験をデザインせよ

コロナ禍で、リアルのサービスをオンライン化する重要性がますます高まっている。だが、単純にリアルからオンラインへ移行させただけでは、ユーザーの満足は得られない。オンライン体験をどうデザインするか、課題も多い。オンラインの体験価値を高めるために不可欠な要素の一つは、「簡便さ」だろう。誰でもストレスなく、特別な知識がなくても利用できることだ。

LiveCallで接続を開始。オフィス内のブースで待機するコンシェルジュとビデオ通話で顔を見ながらカスタマイズの相談ができる
LiveCallで接続を開始。オフィス内のブースで待機するコンシェルジュとビデオ通話で顔を見ながらカスタマイズの相談ができる

 オンライン接客がさまざまな業種で普及してきたものの、パソコンやスマホでアプリを自由に使いこなせない人々にとっては、ややハードルが高い。最高のオンライン体験の第一歩は、このハードルをいかに下げるかだ。

 パナソニックコンシューマーマーケティング(PCMC、大阪市)が運営するショッピングサイト「パナソニックストア」は、2021年3月、オンライン接客システムを導入し、「カスタマイズレッツノート プレミアムサロン」を開設した。パナソニックストアを「本店」とすれば、プレミアムサロンは「分店」の相談カウンターという位置づけだ。

 対象は「カスタマイズレッツノート」。ノートパソコン「レッツノート」のうち、ユーザーの好みに合わせて店頭モデルよりもハイスペックにカスタマイズできるモデルだ。それまでのパナソニックストアでカスタマイズレッツノートを購入しようとすると、商品ラインアップからベースとなるレッツノートを選び、カスタマイズメニューから必要なスペックや欲しいパーツ、カラーなどを独力で選ぶしかなかった。

 自分の用途にはどのレッツノートをベースにしたらいいか、どの程度のスペックが必要かなどが分からない人は、東京5カ所、大阪1カ所の家電量販店内にあるカスタマイズレッツノート展示店舗に行き、売り場にいるPCMCの販売員に聞くくらいしか方法がない。実機を実際に見たい、触れたい人も同様だった。

【特集】最高のオンライン体験をデザインせよ
【第1回】 成約率50%超のオンライン接客 パナソニックの勝因は「簡便さ」←今回はココ
【第2回】「UX最高」、3年で利用者7倍 スマホ引っ越し予約「ラクニコス」
画面が見えるビデオ通話なので、コンシェルジュが掲げる実機を見ながら操作方法など分からない点を尋ね、疑問を解消することも可能だ
画面が見えるビデオ通話なので、コンシェルジュが掲げる実機を見ながら操作方法など分からない点を尋ね、疑問を解消することも可能だ

 オンライン接客システム導入のきっかけを、PCMCのeコマースビジネスユニットPC商品部PC商品課参事 野本知愛氏は次のように語る。

 「コロナ禍で世の中が変わりつつある中、20年5月ごろから、それまでの営業スタイルだけではいけないと考えるようになった。実機を見たくても、展示店舗への来店が難しい地方のお客さまへの対応など将来を見越したとき、オンライン接客が不可欠だと思い、どのシステムがいいか検討を始めた」

 具体的な検討に入ったのは20年秋ごろからだという。数社のシステムを比較した結果、スピンシェル(東京・文京)が開発したオンライン接客システム「LiveCall(ライブコール)」の採用を決めた。

オンライン接客は女性のニーズが高い?

 「決め手は、オンライン接客に特化していて使い方が簡単なこと。お客さまは『プレミアムサロン』のバナーをワンクリックするだけでオンライン接客が受けられる。専用アプリを立ち上げるなど、幾つもの工程を経なければつながらないといったことがないため、お客さま目線で見たときにストレスなくつながる点が、他のシステムと大きく違う」(野本氏)

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