
特集5回目は、市場調査やマーケティングリサーチ事業などを展開するインテージ(東京・千代田)に取材し、今後の消費傾向を聞いた。コロナ禍が収束しても、元の生活にはもはや戻れない。感染症対策だけではなく、漠然とした生活の不安を抱きながら生きる「withリスク」の生活スタイルに移行しそう。だからこそビジネスチャンスもありそうだ。
インテージでは、2020年3月末から6月末まで「新型コロナウイルス感染拡大でいまの生活者の意識は?」というアンケートをサンプル数500で毎日行い、7月以降は名称を「withコロナの日常生活 いまの生活者の意識は?」と改め、サンプル数も3000として毎週(21年3月からは隔週)行っている。いずれも調査地域は全国、対象者条件は15~79歳の男女だ。
【第2回】 消費者のわがまま化に商機 ゆるい多拠点生活、たまに脱・肉食
【第3回】 56%が「コロナ後も今の生活を維持したい」 在宅中に副業や投資
【第4回】 外食の“異端児”が語る「脱・都市依存」 東京転出者が40万人突破
【第5回】 消費者の意識は「withリスク」へ 節約・持たない暮らしへと変わる←今回はココ
調査項目は、新型コロナウイルス感染症拡大や所得に対する不安などのほか、景気見通し、外食や不特定多数のいる場所への外出、国内外旅行など行動に関する意識など。同調査によると、例えば「感染拡大」に対する不安は、第1波が来た20年4月のときは83%を超え、感染者が減ってくると落ち着き、また第2波、3波、4波がくると上がるというようにすぐに反応している。しかし80%を超えたのは第1波のときだけで、感染者数は8月の第2波、21年1月の第3波、4月の第4波のほうが多いにもかかわらず、いずれも80%にはわずかに届いておらず、“コロナ慣れ”といった状態も生まれている。
「今は『withコロナ』時代をどう生きるかといった論調の議論が多いが、もはや新型コロナだけを注視していてもだめ。アンケートなどを見ると、コロナ禍が長期化するなかで、生活者たちは『withコロナ』から視野を広げて、『withリスク』という視点に立っている。感染防止だけでなく、自然災害への備えや、雇用や収入の維持など、暮らしにおけるさまざまなリスクを複合的に想定して、自分の暮らしを見直しているのではないかという印象を持っている」(インテージ生活者研究センター長の田中宏昌氏)
さまざまな生活様式をテストする期間に
「家庭の暮らし向きが悪化する」との回答は、第1波のときは約40%だったが、その後は15~20%で推移している。逆に「節約意識」は第1波のときは約50%だったが、第2波以降は約60%まで上がった。暮らし向きまでは悪くならないものの、節約意識の高まりが出てきているのは今後の不安を見越したためだろう。
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