特集3回目は、博報堂生活総合研究所の調査結果から生活者の考え方を探った。新型コロナウイルス感染症拡大から2021年4月で約1年。たとえコロナ禍が収束しても以前のライフスタイルには戻りたくないという生活者が過半数に及んだことが分かった。その主な要因は、在宅勤務により自由度が増えたことにある。

コロナ禍収束後でも現在の生活を維持したい人は過半数に。新しい生活様式が定着しつつある(博報堂生活総合研究所のサイトより)
コロナ禍収束後でも現在の生活を維持したい人は過半数に。新しい生活様式が定着しつつある(博報堂生活総合研究所のサイトより)

 博報堂生活総合研究所は2021年4月30日、「新型コロナウイルスに関する生活者調査【特別編】」という調査リポートを発表した。コロナ禍での生活者の意識や行動について、20年4月から「新型コロナウイルスに関する生活者調査」として毎月聞いている。コロナ禍1年を経て改めて、生活者が「新たに気づいたこと」や「現在の生活スタイルの維持意向」などを分析した(調査は21年4月1~5日、対象は首都圏・名古屋圏・阪神圏の20~69歳の男女1500人)。その結果、「コロナ禍が収束しても現在の生活を維持したい」と回答する人が全体の56.3%と過半数だったことが分かった。

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 維持したい理由で最も多かったのは、「時間の無駄削減や自己管理ができるから」(30.7%)で、次が「コロナに限らず感染が不安で対策が必要」(24.5%)、3番目が「健康/快適なリズムで生活できるから」(12.2%)だった。

 「維持したい理由として、コロナ禍が収まっても、怖いウイルスはこれだけではないだろうから、せっかくきれいになった世の中をこれからも維持したいという考えがまずあると思う。しかし、それ以上に、無駄を削減してできた時間をもっと有意義に使いたいという積極的な自己管理意識が強い」(生活発見グループ上席研究員の佐香孝氏)

 コロナ禍が収束しても、コロナ禍以前の暮らしに戻ることはないことを、生活者の多くが感じていることがうかがえる。

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 「新たに気づいたこと」として17項目を提示したところ、次のような結果が出た。1位は「自分も社会全体も衛生意識が高まり、風邪や病気にかかりにくくなった」(66.1%)で、2位「家族と過ごすことが楽しくなった」(57.9%)、3位「人と対面で会うときは、その時間を大切にするようになった」(57.1%)、3位「自分にとって大切なものを見極める機会になった」(57.1%)、5位「自由な時間を、自分の成長のために使いたいと思うようになった」(56.6%)といった項目が上位に並んだ。

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