
「名前が分からない花の球根を出品したところ、『この花は○○ではないでしょうか?』と教えてくださったときはうれしくなりました」――。長引く自粛モードで中高年のネットサービス利用が拡大。フリマアプリは中高年が不満を感じている対面コミュニケーションの減少を補う役割も果たしている。
2020年7月に実施した特集「アフターコロナの消費者はこう変わる」ではコロナ禍で生まれた「新しい生活様式」「ニューノーマル」に焦点を当てた。その後、21年4月に東京などで3度目の緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大収束の兆しは依然として見えない。
1年以上と長期にわたって外出自粛モードが続く中、本特集ではその間の消費者の行動や心理の変化をさまざまな調査結果や有識者の意見から分析し、アフターコロナの世界で何が定着し、何が一時的なものに終わるのかを探っていく。
【第2回】 消費者のワガママ化に商機 ゆるい多拠点生活、たまに脱・肉食
自粛の長期化で生活満足度はさらに低下
まず、野村総合研究所(NRI)が実施したコロナ禍の生活に対する調査結果の変化を見ていきたい。直近となる20年12月の調査では、「生活に満足していない」「生活にあまり満足していない」と答えた人は61%と、19年12月や20年3月と比べると20ポイント以上の増加となっている。
さらに注目したいのは、初めての緊急事態宣言下の20年5月やその後の7月と比べても10ポイント以上増加しており、生活満足度が大きく下がっている点だ。この調査を行った野村総合研究所 マーケティングサイエンスコンサルティング部の林裕之氏は、「調査したのが年末というタイミングの問題もあるが、長引く生活自粛モードによるストレスに加え、健康や収入など先行きの見えない不安感からではないか」と語る。
デジタルを活用できている人は生活満足度を維持
そんな中、ネットサービスやアプリを活用したり、ITスキルを保有したりしている人は自粛モードの中でも日々の生活を充実させ、生活満足度を維持できているという。この期間中にネットショッピングやフードデリバリー、食材宅配サービスなどネットを活用したサービスを初めて使ってみて、その利便性を実感した人は多い。「これらのサービスは置き配によって『完全非接触で安心・安全』という価値訴求に成功している」(林氏)。
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