
コロナ禍での苦戦が伝えられる観光業、宿泊業だが、新たな切り口を模索する動きも見られる。和歌山のゲストハウス「WhyKumano(ワイクマノ)」が、2020年春から開催している「オンライン宿泊」もその一つだ。ブラジル、米国、欧州など世界中から熊野へ「宿泊」に訪れている。
WhyKumano Hostel&Cafe Bar オーナーの後呂孝哉氏が、2020年4月から現在も開催している「オンライン宿泊」は多くの話題を集め、21年4月まで延べ約500人が“宿泊”を楽しんだ。
この取り組みを後呂氏が始めたのは、コロナ禍により予約のキャンセルが急増した20年3月ごろ。休業とは違う選択肢を考えていた後呂氏が出合ったのが、YouTubeにアップされた「オンライン銭湯」の動画だ。20年3月末に公開されるや否や、数日で数万の再生数を稼ぎ、全国の温泉宿や銭湯がそれに続いて一つのムーブメントが形成された。
銭湯がいけるなら、宿泊だってオンライン化できるはず――。
後呂氏がそう考えた裏には、急増したキャンセルの「理由」もあった。ほとんどのケースが新型コロナウイルスの影響を考慮したもので、「旅行に行きたい」という意志に変わりはないと感じた。
この1年余りの間に「オンライン○○」といったサービスが急増したが、当時はZoomを使った「オンライン飲み会」がようやく認知され始めた頃。「オンライン○○はいろいろあっても、オンライン宿泊は聞いただけでは意味が分からない。そこが面白い」と、後呂氏はこれを企画した。
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