「おもしろいものがつくれない」。クリエイティブの世界に身を置く人に限らず、誰もが悩む壁だ。才能や頭の良しあし、年齢の上下……こんなことは全部切り離して、とにかくおもしろいものをつくるためにはどうすればいいのか。動画コンテンツが立て続けにSNSなどで拡散(バズ)され、10億回超えの再生数を獲得してきたCHOCOLATE Inc.(チョコレイト、東京・渋谷)のCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)・栗林和明氏が、方法論を指南する。

CHOCOLATE Inc.のチーフコンテンツオフィサー/プランナー。映像企画を中心として、空間演出、商品開発、統合コミュニケーション設計を担う。JAAAクリエイターオブザイヤー最年少メダリスト。カンヌライオンズ、スパイクスアジア、メディア芸術祭、ACCなど、国内外のアワードで、60以上の受賞。米誌Ad Age「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」選出
CHOCOLATE Inc.のチーフコンテンツオフィサー/プランナー。映像企画を中心として、空間演出、商品開発、統合コミュニケーション設計を担う。JAAAクリエイターオブザイヤー最年少メダリスト。カンヌライオンズ、スパイクスアジア、メディア芸術祭、ACCなど、国内外のアワードで、60以上の受賞。米誌Ad Age「40 under 40(世界で活躍する40歳以下の40人)」選出
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 こんにちは、栗林和明といいます。

 詳細な自己紹介は次回以降にまわすとして、僕は今チョコレイトのCCOとして、分野を越境しながら、いかに新しくて楽しみなエンターテインメントをつくっていくか、という仕事をしています。

 この連載は、「つくり方のつくり方」として、才能があるとかないとか、頭が良いとか悪いとか、環境に恵まれているとか恵まれてないとか、年齢が上とか下とか、誰かが先にやっているとかやっていないとか、そんなことは全部切り離して、その先の、もっとおもしろいものをつくるための方法を、考えていくものにしたいと思っています。

 僕も、もともとは全然企画が通らなかったり、賞に1ミリも引っかからなかったり、つくり方にすごく苦労してきた人間です。でも、ある日「つくり方のつくり方」に気づいて、つくり方そのものをつくると、自然と新しいものがつくれるし、誰かと争わずにつくれることが分かりました。

 もし、今、特にクリエイティブの世界において才能とか環境とか年齢とか、なにかに悩んでいる人がいれば、新しくておもしろいものづくりの参考に少しでもしていただけるとうれしいです。

「バズマシーン」として「バズのツボ」をつくる

 僕は一時期、「バズマシーン」と名乗っていました。

 これは、僕がもがいていたときに毎日たくさんのバズる動画を研究して、それらのバズらせるための共通のツボを発見し、それを動画に転用したら高確率でバズらせることができたところからきています。

 ドヤ!という感じで名乗ったんじゃなくて、名刺に肩書を載せようとなったタイミングで、最初は「インタラクティブ・プロデューサー」で提出したんですが、普通すぎると却下されてしまって……それが深夜だったこともあり、やけくそで一番振り切った「バズマシーン」を出したら通ってしまったのがはじまりです。

 今は、ただ話題になるバズ、というよりも、心の奥深くを突き動かし、人に伝えたくなる本質的な話題というものに向き合うため、一から修業し直そうと決め「バズマシーン」という名前は捨てたのですが、でも、それを名乗ったことで状況が一変したので、本当によかったと思っています。

 そして、そのバズる動画をたくさん研究していたなかでまとめたTIPS集が、「バズのツボ」です。これは、たくさんの方に見ていただきました。

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