Microsoft Officeアプリが利用できるiPadは、使い勝手がパソコンと遜色ないレベルまで高まっている。例えば、パソコンで作ったExcelの表やグラフに、iPadで手書きのコメントを入れるといった芸当が可能なのだ。パソコンとiPadの“二刀流”を使いこなすプロに、リモートワークが劇的にはかどる技を聞いた。

※日経トレンディ2021年5月号の記事を再構成

リアルなノートと同様に、任意の場所に画像やウェブページなどを配置できるOneNote。iPadを使えば、手書き入力も簡単だ(詳細は記事3ページ目)
リアルなノートと同様に、任意の場所に画像やウェブページなどを配置できるOneNote。iPadを使えば、手書き入力も簡単だ(詳細は記事3ページ目)

 iPadでも使えるMicrosoft Officeアプリは、何度もアップデートされ、使い勝手がパソコンと遜色ないレベルまで高まった。例えば、Split Viewで画面の左側にExcelのグラフを表示し、画面右側のWordに貼り付けるといった作業も指1本で感覚的に行える。新たにインストールするなら、オールインワン型の「Office」アプリを選びたい。Excel、Word、PowerPointなどがこのアプリに入っており、1つで各ファイルの作成や編集ができるからだ。

Office (マイクロソフト)を使いこなす6つのポイント

【POINT 1】ワード・エクセル・パワポが全部入り
【POINT 1】ワード・エクセル・パワポが全部入り
アプリ1つでテキスト作成から表計算、プレゼンまで全部こなせる

 二刀流でOfficeを使う場合、有料のクラウドサービス「Microsoft 365」(旧Office 365)を契約することになる。従来のサブスクリプション型ではないOfficeの場合、モバイルアプリが使えない制約があるためだ。ただしMicrosoft 365でも、一部プランでは画面サイズが10.1インチ以下でしか使うことが認められていない場合があるので注意。iPadシリーズではminiを除くと全モデルで画面サイズが10.1インチ以上となっている。

【POINT 2】テンプレートはパソコン版と遜色なし
【POINT 2】テンプレートはパソコン版と遜色なし
PowerPointのテンプレートも豊富で、iPadだけで本格的なプレゼンが作れる

 Microsoft 365は個人契約の場合、年間1万2984円(税込み)から。最近は買い切り型からMicrosoft 365に切り替える企業も少なくない。もし業務利用するなら、勤務先のシステム部門に問い合わせてみるとよい。そもそも、私物iPadの業務利用が認められているかも併せて確認しておこう。

カメラをスキャナーとして利用。書き込みはApple Pencilで

 オールインワン型のOfficeアプリで見逃せないのは、パソコン版アプリではできない便利な機能が用意されていることだ。

 まず二刀流環境では、パソコンとiPadで同じファイルを同時に開いて編集できる。パソコン上で通常通りExcelを使って表やグラフを作り、一方のiPadでApple Pencilを使って手書きのコメントを入れるといった芸当が可能なのだ。クラウド経由の同期のため、パソコン側のファイルにiPadの手書き文字が現れるまでに数秒のタイムラグがあるものの、十分に実用的だ。

【POINT 3】パソコンで開いているファイルに手書き
【POINT 3】パソコンで開いているファイルに手書き
パソコンとiPadで同じファイルを開いて並行して編集することが可能

 iPadのカメラをスキャナー代わりに使う機能も備える。例えば手元に得意先から入手した紙の書類があるなら、これをスキャン。WordファイルやPDFファイルとして保存できる。OCR (光学文字認識)機能もあるので、日本語文字をテキストに変換することもできる。

【POINT 4】カメラで書類をスキャン
【POINT 4】カメラで書類をスキャン
「レンズ」というiPadのカメラをスキャナーとして活用する機能も用意

 応用編として、名前や住所を書き込む必要がある書類をスキャンし、Apple Pencilで書き込むテクニックもある。こうしたケースで、いちいち印刷してペンで書き込み、再度スキャンするといった手間をかけてはいないだろうか。iPadがあれば、そんなストレスから解放される。

 PowerPointもiPadならではの使い方がある。iPadの内蔵カメラを使って写真を撮り、これを貼り付けてパソコンで編集するのだ。iPadとiPhoneの写真アルバムはリンクしているので、過去にiPhoneで撮影した写真も呼び出せる。

【POINT 5】その場で撮った写真を貼り付け
【POINT 5】その場で撮った写真を貼り付け
iPadの内蔵カメラで撮影した写真や、iPhoneで撮影した写真を呼び出せる
【POINT 6】クラウド上のファイルを読み書き
【POINT 6】クラウド上のファイルを読み書き
OneDrive連携により、パソコンとiPadでシームレスにファイルを読み書き可能

無料で使えるデジタルノート「OneNote」を使わないのは損

 存在は知っていても、デジタルノートのOneNoteを使いこなしていないとすれば、二刀流では考えを改めた方がよい。文字や図形を好きな場所に書くことができるし、関連する写真なども記録が可能だからだ。

OneNote (マイクロソフト)の上手な使い方

【こう使う】オンライン商談や会議で「永久保存版メモ」
【こう使う】オンライン商談や会議で「永久保存版メモ」
Microsoft 365の契約者なら誰でも使える。パソコンにも同じアプリを入れておけば、iPadでは手書き、パソコンではキーボードといった具合に使い分けられる。デジタルノートのメリットは、書いた文字を後で拡大・縮小したり、位置を変えたり、色を変えたりと自由自在なこと。加えてOneNoteでは、図形を手で描くと、これを“清書”してくれる

 OneNoteはiPadで利用するとがぜん魅力が増す。ExcelやWordと同様、iPadで作成したノートはOneDrive経由でパソコンでも同時に開ける。

 よくある使い方は、会議の議事録作りで、特にオンライン会議での記録作成に向く。手書きでメモをとり、会議中に重要な資料などが共有されたら画面をキャプチャして貼り付ける。会議終了と同時に議事録が完成し、その場でメンバーに共有すれば、後で議事録をまとめる時間が要らなくなる。

 思いついたアイデアを記録しておく個人ノートとして使うのもいいだろう。手書きで自由に書けるので、思い通りに記録しやすい。さらに、図の清書機能も搭載しており、手描きした丸や四角といった図形をきれいで見やすい形に変換してくれる。

 ページ数の制約がないので、どんどんページも追加していける。後から書いた文字や図の色を変えたり、縮小や拡大、コピーして別のページに貼り付けたりと、紙のノートではできなかったことができる。一度使い始めたら手放せなくなるだろう。

ビジネス書作家 戸田 覚氏
1963年東京生まれのビジネス書作家。デジタル関連製品に造詣が深く、ビジネス誌やパソコン誌で多数の連載を持つ。プレゼンなどのテーマで執筆や講演、コンサルティングも手掛ける

(写真/石原 麻里絵=fort)

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