
ここまでヒット商品を連発するスノーピークのモノ作りや、人間性の回復を目指して体験価値を提供する新規事業に懸ける思いについて、山井太会長と山井梨沙社長に語ってもらった。最終回は社長交代直後に起こったコロナ禍でのドタバタから、10年後を見据えた同社の未来像まで、会長と社長、父娘による本音対談をお届けする。
コロナ禍でより強固な体制が築けた
2020年3月に社長を交代して1年がたちました。コロナ禍もありましたが、振り返ってみていかがでしょうか。
山井太会長(以下、会長) 1年を振り返ると、かわいそうだったなと思っています。社長を交代した途端にコロナ禍になって……。社内でも非常事態対策本部を作って、僕が本部長、梨沙が副本部長という役割で対応してきました。だから、社長として自分で会社をグリップできるようになったのが、たぶん、7月とか8月とかじゃない?
山井梨沙社長(以下、社長) そうですね、いきなりの修羅場でした。
【第2回】 20年越しのリベンジ 会長が明かすスノーピーク流・米国攻略法
【第3回】 コロナ禍にアパレルをどう伸ばすか スノーピーク3代目が語る要諦
【第4回】 スノーピークが新潟に巨大テーマパーク構想 モノづくりの先へ
【第5回】 会長と社長、父娘の本音対談 コロナ後に待つスノーピークの未来 ←今回はココ
会長 他の会社もそうだと思うのですが、店舗やキャンプ場の休業、財務状況などを分析すると、コロナ禍ではスノーピークも倒産の確率が30%も上がったりして。そうした現状を社内で共有し、生き残るためなら何でもするぞ、って社員に伝えました。かなり荒っぽいことをしなきゃいけない状況でしたね。でも、社長が代わったからといって、いきなりそれを彼女にやらせるのも……。
社長 本当に倒産しちゃうかもしれない(笑)。
会長 (笑)。僕は嫌われても大丈夫だけど、新社長が社員に嫌われるのはよくないという思いもあって。だから、そういう意味じゃ、僕が汚れ役。資金繰りもしないといけないし、経営計画も見直さないといけない。そういった守りの施策は僕のほうで進めていました。
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