
コロナ禍でも業績好調、日本のアウトドアシーンをリードするスノーピーク。2020年、3代目社長に就任したのが創業家の長女・山井梨沙氏だ。第4回は山井社長を中心に動き始めている、体験価値の提供やライフバリューの創出に向けた新規事業と、スノーピークの未来を可視化するような「テーマパーク構想」について聞いた。
スノーピークの仕事を再定義。新たなステージへ
スノーピークというと、キャンプ用品を作っているアウトドアメーカーと認識している人も多いだろう。だがここ数年の動きに注目すると、もはやその枠には収まっていない。異業種とのコラボレーションも盛んで、地方創生や働き方改革にまで手を伸ばしている。こうした新しい動きのきっかけとなったのは2018年、山井梨沙社長が企画開発本部長に就任したタイミングだ。
【第2回】 会長自ら乗り込んだ 苦節20年、スノーピーク米国進出に光差す
【第3回】 新規顧客開拓に成功 スノーピーク、成長するアパレル事業の要諦
【第4回】 スノーピークが新潟に巨大テーマパーク構想 モノづくりの先へ ←今回はココ
【第5回】 会長と社長、父娘の本音対談 コロナ後に待つスノーピークの未来
「スノーピークが提供している本質的な価値とは、キャンプを通じて自然と人がつながることで、人と人がコミュニティーとしてつながっていくことです。私が入社した時は、まだまだキャンプ用品しか興味がない、ギアマニアのユーザーが大半でした。しかし、改めて我々の仕事ってなんだろう、提供すべき本質の価値ってなんだろう、ということについて、企画開発本部のメンバーと一緒に議論を始めたのです。そこで出た1つの答えが、『商品を作った先にある体験を提供する』ということでした」
それがホームページなどで打ち出している「スノーピーク エクスペリエンス」である。スノーピークの製品やサービスを通して、自然の魅力や新しい価値(=人間性の回復)に気づいてもらうきっかけを、さまざまな領域で展開し始めたのだ。
「フィールドでギアを使ったときの感動はもちろん、アパレルを着て日常を過ごして快適を実感するのも体験です。スノーピークはキャンプの価値をベースに、衣食住、働く、遊ぶという、人が生きるライフステージのすべてで体験を提供できるという点に立ち返りました。提供しなければいけない価値は明確なので、製品やサービスを通した体験価値と、ライフステージごとにその価値を提供することによってライフバリューを創出していきたいと考えています」
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー