2020年2月のリニューアルが成功し、販売のV字回復を果たした湖池屋のポテトチップス「湖池屋プライドポテト」。好調の裏には、商品に関わる様々な部署の人が集う横断的な会議がある。同社で複数ブランドを束ねるマーケティング部の野間和香奈氏に、湖池屋流の会議について聞いた。

※日経トレンディ2021年5月号の記事を再構成

 2017年2月に発売し、新しい湖池屋を印象付けた「KOIKEYA PRIDE POTATO」。初年度には40億円を超すヒットを飛ばしたものの、実はその後売れ行きが伸び悩んでいた。20年2月のリニューアルによって生まれた「湖池屋プライドポテト」は、発売3カ月で売り上げ20億円を突破。V字回復の立役者が、同社で20近くのブランドを束ねるマーケティング部の野間和香奈氏だ。

湖池屋 マーケティング部次長 野間和香奈氏
広島県出身。東京農工大学卒業。04年湖池屋入社後、マーケティング畑を歩む。17年、同社の社運を賭けた新商品「KOIEKYA PRIDE POTATO」のマーケティングを担当し、その後のリニューアルにも携わる。現在は20近くのブランドを束ね、後進の育成も担当

 プライドポテトは「リニューアルを毎年行っていたが、かえってブランド認知が薄れるなどの迷走を招いていた」と、野間氏は振り返る。そこで20年のリニューアルでは、デザインを当初のテイストに戻し、無添加やナチュラルさを売りにしていた方針を見直した。「神のり塩」などポテトチップスらしい味の設定が支持された。

プライドポテトの変遷を右から順に並べた。17年発売の初代「KOIKEYA PRIDE POTATO」(一番右)は、縦型の袋に端正に置かれたポテトチップスのデザインが新鮮だった。その後無添加を売りにする方向へと移行したが、顧客からは「最近棚で見かけない」と言われ、ブランド名も伝わりづらくなっていた。一番左の20年のリニューアルでは初代のテイストに戻した
プライドポテトの変遷を右から順に並べた。17年発売の初代「KOIKEYA PRIDE POTATO」(一番右)は、縦型の袋に端正に置かれたポテトチップスのデザインが新鮮だった。その後無添加を売りにする方向へと移行したが、顧客からは「最近棚で見かけない」と言われ、ブランド名も伝わりづらくなっていた。一番左の20年のリニューアルでは初代のテイストに戻した

 そして新規顧客をつかみ、ヒットを後押ししたのが、食塩不使用の新味「芋まるごと」だ。ポテトチップスに不可欠とも言える塩を使わない商品は、どうして誕生し得たのか。その秘密は部署横断型のチーム編成にある。

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