
特集の第6回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成だけでなく、採用にも注力している博報堂グループを取り上げる。グループ内に新設したDX推進組織に必要な人材を、数年かけて400人ほどキャリア採用する計画だ。どのようなDX人材を、どのように採用するのかひもといた。
総合広告会社の博報堂(東京・港)、グループのメディア事業を主に担う博報堂DYメディアパートナーズ(東京・港)、デジタルメディア事業を主に担うデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC、東京・渋谷)の3社は2021年4月5日、自社ではなくクライアント企業のDXを推進するための3社横断の戦略組織「HAKUHODO DX_UNITED」を発足した。
【第2回】 アサヒがDX化を急加速 「ビジネスアナリスト」530人育成の衝撃
【第3回】 ヤマト「DX人材」1000人育成の全貌 AI開発からアーキテクトまで
【第4回】 米先進企業が教える「マーケDXを自社で取り組むための3箇条」
【第5回】 ミスミの注目事業「メヴィー」に学ぶ、ビジネス拡大の人材育成術
【第6回】 博報堂が400人超のDX人材採用へ 丸ごとM&Aや業務提携なども視野 ←今回はココ
これまでは、クライアント企業の依頼を受けてマーケティングDXを推進しようとすると、必要な機能(部署)がグループ内に分散していたため、依頼に応えるまでに手間も時間もかかるケースが多かった。これでは、総合広告会社やコンサルティング会社といった競合企業との厳しい競争を勝ち抜けない。そこでクライアント企業のDX推進に関わる機能を1つにまとめた。
具体的には、データマーケティングなどマーケティングDXを推し進める博報堂の5部門、メディアへの投資効果の最大化を図るメディアDXの推進機能を担う博報堂DYメディアパートナーズと博報堂にまたがっていた2部門、それにデジタルマーケティングの実際の運用などを担うDACの1部門を、それぞれ8つの専門機能としてHAKUHODO DX_UNITEDにまとめたのだ。これにより、エクスペリエンスデザインやメディアプランニングなど、それぞれ専門領域を持つスタッフ約700人が結集し、クライアント企業のDXを推進する態勢になった。
もっとも、数多いクライアント企業のDXを推進していくためには、既存のスタッフだけでは質・量ともに十分ではない。そこでHAKUHODO DX_UNITEDに必要なDX人材を、「社内から育成する、社外から招くの両輪で増やしていく」(博報堂人事局人事部部長兼博報堂DYメディアパートナーズ人事局人事部部長の沼田宏光氏)ことを考えた。社外から招く場合は、キャリア(中途)採用はもちろん、「業務提携やM&Aによって必要な人材を手配することも選択肢に入れている」(沼田氏)という。
博報堂Gが新たに始めた「現場と一体型の採用」とは?
社外から人を招く際の軸となるキャリア採用については、これまでの博報堂グループでは実施していなかった採用方法を取る。それは「現場と一体型の採用」(沼田氏)だ。
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