
DX(デジタルトランスフォーメーション) を“顧客への提供価値を見つめ直すきっかけ”と捉え、そのために必要なDX人材の育成に動き出したのが、アサヒビールやアサヒ飲料などを傘下に抱え、グループで3万人弱の従業員がいるアサヒグループホールディングス(アサヒGHD)だ。「ビジネスアナリスト」を育成し、ビジネスの現場でどのように成果を上げようとしているのか──。200人の募集枠に530人の応募が殺到した同社の試みを追った。
「想定していた人数の倍以上が応募してきて、担当部署としてはうれしい悲鳴だ。これはグループの従業員の多くが現状に危機感を抱いていることの表れ。そこで、当初見込んでいた研修用予算を大幅に超過することになるが、応募者全員に予定していた研修を実施することにした」
こう話すのは、アサヒグループホールディングス(アサヒGHD)日本統括本部事業企画部Value Creation(VC)室シニアマネージャーの大江輝明氏だ。
アサヒGHDは、「グループ全体で見て、顧客に新しい価値を提供できる人材が不足している」(大江氏)と考え、そのために必要な人材像の1つとして、データサイエンティストなどが在籍する社内外のデータ分析部門と、現場である自社の事業部門の間をつなぎ、ビジネスやマーケティング面のDXを社内で推進する人材を「ビジネスアナリスト」と定義。データ活用支援事業を展開するブレインパッドの協力を得て、2021年春から社内でその育成に取り組み始めたのだ。
DX人材を育てるカリキュラムの内容とは
グループ全社の従業員に対し、ビジネスアナリストとしてどんな人材像を求めているかを示し、その育成のための研修希望者を、21年2月から3月末まで無条件で募集した。すると冒頭のコメントにあるように、募集枠200人に対し、手を上げた希望者の数が530人に達したのである。
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