SDGs(持続可能な開発目標)をいかに経営に取り込むかは企業価値を持続的に向上するうえで重要な課題になっている。自然のフィールドを主戦場とするスノーピークにとって、地球環境の維持は使命ともいえる。自然エネルギーへの転換プロジェクトを担う常務取締役のリース能亜氏に、取り組みを聞いた。
30年以上前から宿るサステナブル精神
「そもそもスノーピークには、SDGsという言葉が出てくる前からサステナブルな意識がものすごくありました」と開口一番に語るリース能亜氏。スノーピークが手掛ける野遊びのフィールドは地球そのもの。地球が育んできた自然がなければ成立しない事業を行っているため、必然だと語る。
その思いはものづくりに貫かれている。象徴的な例が永久保証制度だ。スノーピークがキャンプ市場に参入した1988年に導入した永久保証制度は、30年以上たった現在も続いている。キャンプ用品もアパレルも、スノーピークの製品はすべてが永久保証の対象。壊れたら廃棄するのではなく、修理をして長く使っていく。この思想こそ、サステナブルなビジネスモデルを目指している証しだ。
「製品を永久保証するということは、お客様との関係性を永久保証するということでもあります。お客様にキャンパーとして長く寄り添いたい。だから永久保証をしているのです」(リース能亜氏)
売ったら終わりではない。製品を体験できるキャンプ場を運営し、イベントを介してユーザーとつながっていき、万全の体制でアフターサービスを構築している。このユーザーとの長期的な関係づくりこそが、スノーピークの財産でもあり、強みになっているのは明らかだ。
「アフターサービスには当然コストもかかります。コストがかかっても、ユーザーさんとのつながりが続いていくのはメーカーにとって一番良いこと。例えば、お父さんが使っていたキャンプ用品を息子さんが受け継ぎ、3世代一緒にキャンプをしてもらう。そうしたことができるよう、サポートするのが大切だと考えています」(リース能亜氏)
「大事なのはユーザーの気持ちに寄り添うこと」とリース能亜氏が語るように、買っては捨てるような物からは生み出せない記憶を、スノーピークは刻み続けている。
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