アウトドアメーカーのスノーピークでは、2016年に設立した子会社スノーピークビジネスソリューションズ(愛知県岡崎市)がサポート役となって、社内外の業務DXを推進してきた。代表の村瀬亮氏に、スノーピークが手掛けたDXのプロセスと本質について聞いた。

スノーピーク専務 兼 ビジネスソリューションズ代表 村瀬 亮氏(写真/廣瀬貴礼)
スノーピーク専務 兼 ビジネスソリューションズ代表 村瀬 亮氏(写真/廣瀬貴礼)
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▼前回(第8回)はこちら 大手企業も続々導入 スノーピーク「キャンピングオフィス」の効果

子会社が促進した社内のデジタル化

 2020年4月、緊急事態宣言の影響で9割超の実店舗が休業したスノーピーク。直後に「オンラインでのエンゲージメント強化」を最優先課題に掲げ、2週間でECサイトにオンライン接客機能(チャットサービス)などを導入。結果として、ECの売り上げ(20年12月期)は前期比3倍を記録した。

 アナログなイメージの強いアウトドアメーカーであるスノーピークが、短期間でデジタル対応できた背景には、子会社であるスノーピークビジネスソリューションズの存在が大きい。

 スノーピークビジネスソリューションズは、代表の村瀬亮氏が1999年に立ち上げたアイ・エス・システムズ(後にハーティスシステムアンドコンサルティング)が前身。2019年にスノーピークの100%子会社となった、ITコンサルのプロフェッショナル集団だ。スノーピークのデジタル化には同社が20年以上にわたり企業へのシステム提供を通じて培ったIT導入の手法や考えが生きている。

 「単に技術力としてのデジタル手法を提供するというよりは、デジタル化によって何を実現するかを大事にしてコンサルティングしてきました」と村瀬氏は語る。デジタル化はあくまでも手段だ。まず、どう定着させるか、そしてどう生かすか。村瀬氏は、自身の経験から「チーム自体の関係性が良ければ良いほど、システムは定着する」と言う。

キーエンスを経て、アイ・エス・システムズを起業した村瀬氏。「デジタル化には社員同士の人間関係が最も重要」と考え、働きやすい環境づくりにも尽力してきた(写真/廣瀬貴礼)
キーエンスを経て、アイ・エス・システムズを起業した村瀬氏。「デジタル化には社員同士の人間関係が最も重要」と考え、働きやすい環境づくりにも尽力してきた(写真/廣瀬貴礼)
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 スノーピークは、もともと「ユーザーに対してのSNS活用度は非常に高かった」と村瀬氏。当時社長だった山井太氏(現会長)が、インターネット黎明期からBBS(電子掲示板)を使ったコミュニティー運営などを行っていた風土があり、「デジタルを何のために活用するか」という意識が社員たちにも広く根付いていたのだ。

 一方で、業務効率化や社内コミュニケーションといった基幹のプラットフォームは整備できているとは言い難い状況だった。そこでスノーピークビジネスソリューションズが手掛けたプロジェクトが大きく5つ。時系列にその内容を見ていこう。

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