2011年、新潟県三条市の広大なキャンプフィールドに設立した本社、Snow Peak HEADQUARTERS(HQ)をきっかけに、地方創生に関する依頼が舞い込むようになったスノーピーク。これらを事業化するために17年2月に立ち上げたのがスノーピーク地方創生コンサルティング(新潟県三条市)だ。1カ月に100件もの依頼が舞い込む人気の理由を、代表の高井文寛氏に聞いた。
事業のきっかけは山の中に建てたHQの存在
自然豊かな地域での体験やキャンプ、グランピングといった「野遊び」を通して、「人間性を回復する」事業に取り組んできたスノーピーク。2021年12月時点で、地方自治体などと締結した包括連携協定は23例を数え、地方創生に向けた取り組みに拍車がかかっている。こうした地方創生事業を展開するのが17年に設立した子会社、スノーピーク地方創生コンサルティングだ。
「子会社を設立する前は、スノーピーク本体で地方創生の仕事を請け負っていました」と説明するのは、スノーピークの副社長であり、スノーピーク地方創生コンサルティング代表取締役の高井文寛氏。スノーピークの営業畑で30年以上のキャリアを重ね、まさに発展を支えてきた存在だ。
高井氏は、地方創生の依頼が増加した最大のきっかけとして、11年に設立した本社とキャンプフィールドを併設したSnow Peak HEADQUARTERS(以下HQ)の存在を挙げる。
新潟県三条市郊外の広大な敷地に造られた同施設。現在では年間のキャンプ利用客が3万人を超え、観光を含めた交流人口も増加している。「スノーピークで働きたい」と、都心からIターンやUターンをする人も多く、地元の雇用創出にも貢献しているという。
「HQがオープンした当時、各自治体の首長さんたちが視察に訪れ、『地元でもこんなすてきな施設やサービスを展開したい』と言ってくれました。実はHQは駅からも遠く、アクセスは良いとは言えません。それでも、多くのキャンパーが来訪しているという現実に興味を持ってもらえたのです」。HQが、地方創生事業のロールモデルになっているのだ。
その後、大分県日田市からの依頼が舞い込み、15年にはスノーピークが運営管理を担う「スノーピーク奥日田キャンプフィールド」が新規オープンした。これが、スノーピークによる地方創生事業の本格的なスタートとなった。
「問い合わせは年々増え、年間で平均20案件が並行して動いています。規模や期間はそれぞれですが、長いものだと3年スパン。自治体から『ぜひ一度見学に来てほしい』というものだけでなく、『個人で土地を持っているので活用してほしい』といった依頼まで、さまざまです。地方における自然を生かした地域活性化というのは、かなりニーズが高まっていると感じます」
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