「衣」「食」「住」「働」「遊」と幅広いカテゴリーでの事業展開が勢いを増すスノーピーク。その勢いを直に伝えるイベントが2021年7月に新潟県三条市の本社屋とキャンプフィールドで開催された。取引先やステークホルダーらを招いた巨大な展示会だ。
自社のプロダクトを陳列する展示会はよくあるが、事業を陳列する展示会は聞いたことがない。そんな新しい試みとなるイベント「Snow Peak LIFE EXPO 2021」が、21年7月7~9日に、新潟県三条市にあるスノーピーク本社施設で開催された。衣食住、そして働く、遊ぶといった新たな事業の未来像を「体験」できる場だ。スタッフ全員にPCR検査を実施し、感染対策を徹底した上での開催となった。
企画・運営は未来開発本部が中心となり、事務局を設置して進めた。事務局メンバーの1人、エグゼクティブクリエイターの小林悠氏は、展示会の意図をこう語る。「『ライフバリューを可視化する』ということをテーマとして掲げました。今回のイベントは、それを具現化する場。色々な事業を展開しているのでまずは、各事業の取り組みや目指す世界を肌で感じてもらう。そして、社員や関係者らがつながり、新たな事業パートナーを見つけることが最大の目的です」
これには前段がある。スノーピークは20年秋、他社が主催するイベントに異例の出店を試みた。東京都内で開催されたデザインとアートの展示会「DESIGNART TOKYO 2020」だ。
「スノーピークは、非キャンパーにも企業価値を届けていく必要があります。そこで、感度が高いながらも都会生活で自然を渇望している人が多そうなこのイベントに出店しました」(小林氏)。
原宿のオフィスに各事業が3×3メートルの小さなブースを展示し、担当者がプレゼンテーションをした。来場者数は300人ほどだったが、「スノーピークがなぜアウトドアだけでなく『衣』『食』『住』などの事業を展開しているのかがよく分かった」「生活のあらゆる面で人と自然がつながって生きることの価値を知った」といった声に手応えを感じたという。
展示会の後、仮説を立てた。スノーピークがこの先やろうとしていることを、きちんと理解してもらえる場をつくれば、これまで以上に多くの事業パートナーも見つかるのではないか。小林氏は、「DESIGNART TOKYO 2020」の活動報告をまとめるレポートに、「次回はHQ(ヘッドクォーターズ、新潟県の本社)で開催を」と書いた。
これが、20年末のことだ。わずか半年後にLIFE EXPO 2021開催にこぎつけた。実は7月は例年、本社社屋に一部取引先を招いてクローズドの受注会を実施していた時期だ。この受注会を、LIFE EXPOとして一新することに決めた。
LIFE EXPO 2021は、事業パートナーはもちろん、機関投資家や行政の担当者など、スノーピークに関わるすべての人と人がつながることのできるオープンな展示会とした。招待したのは約2000人。来場者全員が体験価値を共有する場へと大きく舵を切った。
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