
サントリーホールディングス子会社、サントリースピリッツの真骨頂は新しいことに挑む姿勢にある。最近では2020年3月にハイボールなどに続く「第三のソーダ割り」としてジンの新商品、21年3月にはレモンサワー味のノンアルコール飲料を発売。創業者が残した「やってみなはれ」精神で市場を切り開く。
日経クロストレンドと日経MJが共同で実施した「マーケター実像調査 2021」の先進マーケティング企業ランキングでサントリーは4位。競合の多い飲料メーカーの中でも高いブランド力を持ち続ける背景を同社に聞いた。
「それはまだ、流行(はや)っていない。」――。サントリースピリッツが発売した国産ジン「翠(SUI)」のCMで使われている台詞(せりふ)には、ジンはバーで飲むものという固定概念を覆し、居酒屋や家で食事に合わせて飲むという新しい価値観を広めたいという決意が込められている。サントリースピリッツの鈴木あき子RTD・LS事業部長は「はやっていないと自分で言ってしまうところがサントリーっぽいところ」と語る。
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翠の発売は20年3月。ボタニカルと呼ぶ、ジンの原料として伝統的な素材のほか、ユズや緑茶、ショウガなど、日本食にもなじみやすい食材を使用した。希望小売価格で1380円(税別)と手ごろな価格とした。
コロナ禍の中で「家飲み」が定着し、瓶を買って好みの味に仕上げるなど、自分らしい楽しみ方を探す消費者のニーズにも合致した。20年は当初計画の3倍を超える9.5万ケース(1ケースは700ミリリットル12本換算)を販売した。
「それでもまだ、ターゲットとする消費者の半分にも知られていない。22年の年初には認知率がそこまで行けるように仕掛ける」と鈴木氏は語る。21年は前年比で2倍超の20万ケースを販売目標に据える。
レモンサワーに続くブームを作れ
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