
マーケティングが先進的な企業として真っ先に名前が挙がる米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。経営の中核にマーケティングを据え、180カ国で50億人の利用者を持つ世界最大の日用品メーカーだ。コロナ禍で消費行動が変わるなか、基本となる「WHY(なぜ)」の繰り返しで消費者心理を読み解く。
日経クロストレンドと日経MJが共同で実施した「マーケター実像調査 2021」の先進マーケティング企業ランキングでは、P&Gが他社を抑えて1位となった。
紙おむつの「パンパース」にヘアケアの「パンテーン」、消臭剤の「ファブリーズ」に衣料用洗剤の「アリエール」。P&Gが展開するブランド群は世界でも圧倒的な知名度を誇り、年間売上高は7兆円を超える。P&Gの商品をまったく使わずに生活している消費者はほとんどいないだろう。
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消費者の過ごし方や考え方の変化を精緻に読み取り、日常の困りごとに解決策を提示する日用品メーカーにとって、マーケティングは生命線だ。P&Gでは、入社直後から消費者に受け入れられる商品作りの方法論を徹底的に植え付ける。
入社1日目から精鋭育成
「自分の部下には、将来自分の上司になってもらえるようにトレーニングしている」。P&Gジャパンのスタニスラブ・ベセラ社長は社内の風土をこう説明する。入社1日目からマーケターとしての能力開発に焦点を当てて育成を始める。1年目の社員が上司と意見を戦わせるのも日常茶飯事だ。
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