花王のマーケ力の結晶「アタックZERO」 古くさい印象洗い落とす(画像)

日経クロストレンドと日経MJの共同企画「マーケター実像調査 2021」第2弾特集では「先進マーケティング企業」のランキングで上位に入った企業の取り組みに迫る。5人の人気俳優を起用したCMで主婦層にアピールした「アタックZERO」を販売する花王にヒットを生み出す発想法を聞いた。

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松坂桃李さんや菅田将暉さんを起用したアタックZEROのCM
松坂桃李さんや菅田将暉さんを起用したアタックZEROのCM

 日経クロストレンドと日経MJが共同で実施した「マーケター実像調査 2021」では、マーケティングの取り組みで先進的だと思う企業を聞いた。(関連記事:「先進マーケティング企業ランキング トヨタが躍進、1位はP&G」)。その中で、P&Gと共に日用品メーカーで評価の高かった企業が花王だ。

【特集】マーケターの実像調査2021「実践編」

 中身だけでなく、容器もサステナブルに。花王は2021年4月10日、主力の衣料用洗剤「アタックZERO」をリニューアル。容器に再生プラスチックを100%使用する。アタックゼロは発売当初から食用油を接種した後に残る固体油脂を界面活性剤の原料として使うなど、資源の有効活用が特徴の1つだった。環境への配慮をより一層打ち出す。成分も改良し、これまで落ちにくかった粒子の汚れも取り除きやすくした。製品のパッケージには「抗菌+(プラス)」「ウイルス除去」「洗たく槽防カビ」という特長を記載し、新型コロナウイルスの感染拡大で広がっている生活者の衛生意識の変化に応えることをアピールする。

4月10日に改良発売する「アタック ZERO」。容器を100%再生プラスチック製にし、「抗菌+(プラス)」などの機能もパッケージでアピールした
4月10日に改良発売する「アタック ZERO」。容器を100%再生プラスチック製にし、「抗菌+(プラス)」などの機能もパッケージでアピールした

 2019年4月に発売となった「アタックゼロ」は、取っ手の上部を押すと1回分の洗剤が出る「ワンハンドプッシュ」という工夫を加えたほか、人気若手俳優を起用したテレビCMが大きな話題を呼んだ。若年層がアタックに抱く「古くさい」というイメージの刷新を目指し、消費者の印象に残ることを最優先にマーケティング施策を展開した。

ハッシュタグで結成「洗濯愛してる会」

 19年4月、若者が行き来する「渋谷109」に人気俳優5人の広告を大々的に打ち出した。それに合わせてテレビCMの放送を開始。松坂桃李さん、菅田将暉さん、賀来賢人さん、間宮祥太朗さん、杉野遥亮さんが洗濯好きな若者を演じ、生活のなかに自然と溶け込むアタックゼロの世界観をつくり上げた。「洗濯愛してる会」というハッシュタグと共にSNSで一気に拡散された。

「#洗濯愛してる会」というハッシュタグを使ったキャンペーンを展開した
「#洗濯愛してる会」というハッシュタグを使ったキャンペーンを展開した

 花王はアタックゼロのキャンペーンに過去最大級の広告費を投じた。準備を始めたのは18年の夏。議論の前提として、いくつかのルールを設けた。「汚れが落ちる」など、従来の洗剤では定番ともいえる表現を避ける。「強力」「徹底」「超」といった程度を表す言葉も使わない。そして、メーカー目線にならない。

 「(メーカー間で機能を競う)競争に消費者は飽き飽きしている。『またメーカーが言いたいことを言っている』という目で見ている」と兵藤和彦シニアマーケターは話す。発売は平成から令和へ元号が変わるタイミングでもあり、まずは機能面よりも、今までとは異なる洗剤という印象を与えることを最優先に位置づけた。

「親世代」などの古びたイメージ刷新

 アタックの課題は若年層にあった。キャンペーンの立案に先立ち実施した調査では、「第一想起」と呼ばれる、洗剤と言われて真っ先に思い浮かぶブランドはアタックだった。知名度が高い一方で、若者のイメージは「古くさい」「親世代」「粉末洗剤」といったものが多かった。2000年代の花王は粉末へのこだわりが強く、液体に傾く時代の流れに乗り遅れていた。古びた印象がつきまとっていた。