イノベーション創出・実現のコンサルティングファームi.labの横田幸信マネージングディレクターが先進企業のイノベーション担当者に取材し、どうすれば企業はイノベーションを実現できるのかを現場の声から明らかにしていく。今回はLIXIL(リクシル)の事例の後編。テクノロジーイノベーション本部リーダーの迎 宇宙氏、戦略企画部リーダーの本村雅洋氏、戦略企画部戦略デザイングループリーダーの桝 泰将氏に聞いた。i.labシニアディレクターの杉江周平氏も参加した。
<前編『リクシルCTO「イノベーションは共有・共感・共働で生まれる」』はこちら>
横田幸信氏(以下、横田) そういった、常に将来を見据えながら考えるという姿勢は、経営トップから指示されてくるものですか。それともLIXILの中に脈々と続く、いわばカルチャーなのでしょうか。
迎 宇宙氏(以下、迎) 我々には企業の存在意義として、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現を掲げた「LIXIL Purpose」があり、それに向かって正しいことをやっているかどうかを常に意識しています。私たちの部門が行うのは、今日や明日のビジネスではなく、その先の5年後、10年後のビジネスになります。そのとき、どんな社会になっているのか、我々は何をすれば社会に貢献できるのか。それを考えて、実践していくことを使命としています。
横田 新しい製品や事業を生み出す目的を持つ部署などを「イノベーション部署」と呼ぶなら、LIXILにはほかにどういった部署が存在しているのでしょうか。
迎 今、いろいろなところにイノベーションを意識した部署があります。やはりイノベーションを生まないと、持続的な存在になり得ないので、会社全体でイノベーションを考えていく。ここ数年で、我々のメイン産業であるハウジングや水まわりの両方にイノベーションの部署ができています。いずれも事業化に向けて一歩進んだ部署で、今までの事業の延長ではないビジネスを考えようとしています。イノベーションといっても、破壊的なイノベーションもあれば、今までの延長線上のイノベーションもある。ただ共通なのは、新しい価値を見いだそうという点でしょう。そういった活動は社内の全組織に浸透しつつある。
杉江周平氏(以下、杉江) 今、最も重視されるキーワードはDX(デジタルトランスフォーメーション)でしょう。DXにも、効率化を目指して情報システム部が中心になって推進している企業や、DXをイノベーションと結び付けようとするケースもあります。DXは単なるデジタル化とは違うので、イノベーションと結び付いた正しいDXが動き出すと、日本全体が変わっていくと思っています。
切り口をビジュアライズ化して印象的に
横田 戦略企画部が事業部に渡すものは、いわば情報ですよね。そうなると事業部とのコミュニケーションの取り方、伝え方とか、何か工夫があるのでしょうか。
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