
ジェンダーレスの波は、学校にも広がってきた。例えばランドセルや学生服の色やデザインとして、性差を感じさせない製品が出てきている。家具・インテリアなどの開発・販売を手掛けるアクタス(東京・新宿)は、同社製ランドセル「SCHOOL BAG(スクールバッグ)」の「2022年モデル」として7色を用意し、2021年2月から予約を開始した。
2022年モデルには「ドルフィンブラック」「ワイズネイビー」「プリンセスレッド」「モードピンク」に加え、限定色として「クラシックグリーン」「チョコブラウン」といった色の製品もある。だが同社の場合、男児や女児にも人気の色は「キャメル」という。
ランドセルといえば、かつては男児向けは黒か紺で、女児向けは赤やピンクといったイメージがあった。また、当時の女児向けキャラクターの影響で、ブルーが流行したこともある。アクタスも黒や紺、赤やピンクのほか、ベージュやブラウンなどさまざまな色のランドセルを作ってきた。形状のデザインにもこだわり、カバー部分を短くして留め金を強調し、上品さを出した「半かぶせ」と呼ぶ製品も開発した。そして15年発売の「2016年モデル」から、流行に左右されない普遍的な色としてキャメルを選択して売り出したところ大ヒット。もともとは男児向けを狙った色だったが女児からも注目され、今ではキャメルが毎年のランドセル売上高の3~4割を占めるほどになった。
一般にランドセルは子供の好みだけでなく、購入者の両親や祖父母の好みにも左右されるといわれるが、キャメルは子供はもちろん両親や祖父母からも人気があるようだ。開発はアクタス、製造は06年から親会社となったコクヨが担当。両社でコラボレーションしながら作っている。アクタスの売上高は169億800万円(20年11月期)で、ランドセルなど子供向け事業は数億円だが今後に期待がかかる。
「開発に当たってはジェンダーレスという意識はなく、当初は男児をターゲットにしたが、女児が背負っても違和感がないと親から人気に火がついた。中間色のキャメルはファッションに合わせやすいといった理由で、親が持たせたがったようだ。アクタスのスクールバッグといえば、半かぶせでキャメルといわれるほど定着した」とマーチャンダイジング部雑貨/TEX開発チームのバイヤー、筒井俊道氏は話す。「当社はカバン専門メーカーではないので、多品種をラインアップできない。男児も女児も背負える色、形の製品を出すことを戦略としている」(筒井氏)
なぜキャメルにしたのか。
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