ジェンダーレスでヒットを狙え

自分の個性やこだわりを表すことができるファッション。カジュアルなシーンでは女性がメンズ服を着てシルエットなどを楽しむといったことがあったが、フォーマルなスーツにも、その流れがきている。オーダーメードスーツのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(東京・渋谷)は、メンズパターンのスーツを性別問わず購入できるイベントを続けている。

FABRIC TOKYOは、性別問わずメンズパターンのスーツをオーダーできるイベントを期間限定で開催した
FABRIC TOKYOは、性別問わずメンズパターンのスーツをオーダーできるイベントを期間限定で開催した
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 FABRIC TOKYOの性別を問わずメンズパターンのオーダースーツを購入できる「FABRIC TOKYO think Inclusive Fashion」プロジェクトが好評だ。2019年8月以降、すでに3回、東京、京都、名古屋、福岡の4都市で開催し、今後も継続してイベントを開催していくという。

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 女性向けの採寸イベントを開催したきっかけは、「性別的には女性だが、どうしてもメンズパターンのスーツを着て結婚式に参列したい」という女性の声だった。

【特集】ジェンダーレスでヒットを狙え
【第1回】 狙うは「繊細男子」 ジェンダーレス化で激変したマーケの鉄則
【第2回】 真珠のミキモトが男性客開拓に本腰 時代の変化捉えたマーケ戦略
【第3回】 女性もメンズパターンを着る時代 ジェンダー問わないスーツ選び ←今回はココ
【第4回】 Z世代はジェンダーレス制服 1000校が導入した新デザイン

 同社では男性体形向けにデザイン設計、採寸などのサービスを提供している。レディースパターンスーツとはくびれやラインに強弱を出す「ダーツ(切り込み)」の入れ方が異なる。そのため、女性体形特有のふくらみにマッチしないかもしれない、女性の顧客を迎えたところで満足いくものにならないかもしれない、という懸念があり、こうした依頼は断っていた。

左が男性、右が女性のスーツ構造の例。ダーツの大きさや入れ方が異なる。実際には各社やデザインによっても違いがある
左が男性、右が女性のスーツ構造の例。ダーツの大きさや入れ方が異なる。実際には各社やデザインによっても違いがある
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 しかし、どうしても作りたいという女性の思いを受け、このときは特別対応としてスーツを作り上げた。出来上がったスーツに女性は感動。「初めて自分の存在を認められた気がした」といった旨の手紙を、会社に送ってくれたという。

普通の女性が「メンズパターン」に喜ぶワケ

 社内でもこの一件を受け、性別にかかわらずメンズパターンのスーツを着たい人もいるだろうという声が大きくなり、まずはイベントでトライしてみようということになった。3回のイベントで累計約200人が体験した。

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