
真珠といえば女性のジュエリーというイメージが強い。だが、女性も男性も真珠を楽しむ──そんな新しいマーケティングが始まった。けん引しているのは、宝飾品大手のミキモト(東京・中央)だ。広告のビジュアルには真珠のネックレスを身に着けた男性モデルを起用し、ジェンダーレスな商品であることを印象付けている。
ミキモトは2020年2月から、ファッションブランドの「コム デ ギャルソン」のデザイナー川久保玲氏がデザインした真珠のネックレス「MIKIMOTO COMME des GARÇONS」を販売している。21年3月5日には、両社によるコラボレーションの第2弾として、新たに7商品を発売した。第1弾、第2弾ともに、広告のビジュアルに起用したのは女性モデルではなく、男性モデル。真珠のネックレスを身に着けた男性を印象的に見せ、ジェンダーにとらわれない商品だと訴える。
ミキモトは、コム デ ギャルソンとのコラボレーションをきっかけに、これまでアプローチしていなかった男性客に向けて、真珠の魅力を伝える情報発信を進めている。20年11月に開設したミキモト初のオウンドメディア「My Pearls, My Style」では、同社の真珠のジュエリーを愛用している著名人の一人として、俳優の千葉雄大を紹介している。
真珠にまつわるインタビューのほか、真珠のネックレスを身に着けた撮り下ろしのビジュアルも公開。また、ミキモトの21年のグローバル広告のメインビジュアルにも男性モデルを起用。これは同社初だという。
ジェンダーレスは時代のニーズ
120年以上の歴史と伝統を持つ世界的なラグジュアリーブランドのミキモトと、前衛的なコム デ ギャルソンの世界観は一見、相反する。特にミキモトはジェンダーレスのアプローチは初めての挑戦で、世界的に話題となった。「T Magazine」をはじめ、「VOGUE」や「DAZED」「ELLE」「i-D」など海外の多くのメディアで取り上げられ、多数の著名人がミキモトとコム デ ギャルソンとのコラボレーションジュエリーを身に着けている様子をSNSなどに公開していたという。
両社ともにグローバルで展開するブランドで、コラボレーション商品はそれぞれ国内外の直営店で販売している。新型コロナ禍においても、「売り上げは想定通り順調に推移している。男性が購入するケースも非常に多く、メディアからの問い合わせも増えている」と、ミキモト広報宣伝課長の齊藤嘉一氏は言う。
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