富士通の社員で、「Ontenna」の開発者である本多達也氏による全10回の連載「共感から生まれるイノベーション」。今回は特別編として、学生時代からの研究仲間であるメディアアーティストの落合陽一氏をゲストに迎え、共感とイノベーションの関係について語り合った。

落合陽一(おちあい よういち)氏
メディアアーティスト
1987年生まれ、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授・JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。IPA認定スーパークリエータ/天才プログラマー。2017~19年筑波大学学長補佐、18年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員、デジタル改革法案WG構成員、文化庁文化交流使、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーなどを歴任。Prix Ars Electronica、SXSW Arrow Awards、MIT Innovators Under 35 Japanなど受賞多数。写真家・随筆家など、既存の研究や芸術活動の枠を自由に越境し、探求と表現を継続している

本多達也氏(以下、本多) 落合さんとは、2018年からAI(人工知能)などのテクノロジーを使い、身体的・能力的困難のサポートや克服など、さまざまな社会課題の解決に挑むプロジェクト「xDIVERSITY(クロス・ダイバーシティ)」で一緒に研究していますが、出会いはもっと前。僕が経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する「未踏IT人材発掘・育成事業(未踏事業)」に採択されて、そこで出会ったんですよね。

落合陽一氏(以下、落合) たしか、未踏会議のときが初対面じゃなかった? 「マイコンボードのArduino(アルデュイーノ)を振動させている人がいる」って思ったのを覚えているんですよね。

本多 Ontennaの原型ですね。よく覚えていますね(笑)。

落合 CREST(クレスト:国立研究開発法人の科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業)に採択されてxDIVERSITYを始めたときは、僕は29歳。本多さんは、最年少で25歳。同じxDIVERSITYのメンバー菅野(裕介)さん(東京大学准教授)と、遠藤(謙)さん(SONY CSL/Xiborg)は30代でしたよね。

本多 CRESTに採択されるのは、それまで主に40代以上の中堅研究者のチームだったので、20代、30代の若手チームが採択されたことも、話題になりましたね。17年5月に落合さんから「本多さん、一緒にCRESTに出しませんか」と連絡をもらって、「CRESTって何ですか」というところから始まりました。

xDIVERSITYのホームページ
xDIVERSITYのホームページ

落合 業界が震えたよね(笑)。xDIVERSITYが始まらなかったら、18年の「耳で聴かない音楽会(落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団のプロジェクト)」でOntennaとコラボすることもなかったかもしれない。

本多 落合さんは、Ontennaを髪に付けてメディアに出てくれましたよね。とても宣伝効果があったと感謝しています。

落合 髪や服などに付けて音を感じるアクセサリー型であることが、Ontennaの魅力の一つだからね。

イノベーティブなものは「共感」で波及していく

本多 Ontennaの製品化の後押しになりました。Ontennaの誕生当初から知っている落合さんにあらためてお聞きしたいのが、Ontennaの本質的な意義は何かということです。

落合 それは、上場企業である富士通が取り組んでいることじゃないかな。株主だけではなく、社会をちゃんと見ているからこそ、できることだと思います。本多さんがベンチャーを立ち上げてOntennaを製品化しても、それはそれほど奇跡的なことじゃない。ユニークな製品を投資家に説明して資金を獲得して作るというのは、ベンチャーとしてはよくあることですからね。大学でやっていたことを上場企業内で実現したのは、本当にすごいことだと思います。

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