ECサイトの集客策として、SNSの活用は欠かせない存在になっている。連載最終回である今回は「SNSを活用した集客」だ。SNS普及により、インターネット上のウインドーショッピングともいえる「パルス消費」という新たな消費行動が広がっている。そうした、新たな消費行動のトレンドを踏まえたSNS活用について、具体的な施策を解説する。

SNSは「交流の場」から「購入の場」へと活用の幅が広がっている(写真/Shutterstock)
SNSは「交流の場」から「購入の場」へと活用の幅が広がっている(写真/Shutterstock)
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 スマートフォンやSNSの普及は、企業にとって顧客接点の多様化をもたらした。特に、若年層にはSNSを起点とした消費行動に大きな変化が現れている。従来の消費行動は、複数の顧客接点を経由しながら段階的に購入に至るいわゆる「ジャーニー型消費」といわれてきた。

 ところが、スマホの普及により誰もが簡単にECサイトにアクセス可能になり、「24時間買える状態になった」。これにより、買う瞬間まで認知していなかった商品でも、気に入ったら衝動的に購入に至る購買行動が広がっている。グーグル(東京・渋谷)はこれを「パルス消費」と名づけた。

 これにはSNSの普及が少なからず関係している。SNSのアルゴリズムにより、利用者の興味関心に合ったコンテンツが優先的に表示されるため、「好き」から「欲しい」への移行が起こりやすくなっている。さらに、SNS上で投稿に張ったタグなどから、ECサイトの商品ページに誘導できる機能が追加されたことで、認知から購入までをスムーズに進められるようになった。

SNSの普及によって、「好き」から「欲しい」への移行が起こりやすくなり、インターネット上のウインドーショッピングとも言える「パルス消費」という新たな消費行動が生まれている
SNSの普及によって、「好き」から「欲しい」への移行が起こりやすくなり、インターネット上のウインドーショッピングとも言える「パルス消費」という新たな消費行動が生まれている
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 このような顧客行動の変化の中で、より効果的にSNSを活用して、ECの売り上げを増加させていくためにEC事業者ができる具体的な施策を詳しく説明していこう。

SNSの集客力を高める2つの施策

(1)SNSの機能を活用した購入導線の強化 

 企業がSNS上に公式アカウントを設けて、商品やブランドに関する情報を発信することは基本中の基本だ。そこで見直したいのが、「適切なSNSアカウント運用ができているか」ということだ。まず、SNSからECサイトへの購入導線を作ることは必要不可欠である。

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